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ニコプロpresentsハードヒット「今」

ニコプロpresentsハードヒット「今」

ニコプロpresentsハードヒット「今」
日時:2021年12月30日(木)
開場:11時30分
開始:12時30分
会場:東京・新木場1stRING
観衆:去年の1.5倍(超満員=主催者発表)

第1試合 3ロストポイント制 10分1本勝負
阿部諦道(浄土宗西山深草派)
3分3秒 腕ひしぎ十字固め
前口太尊(飯伏プロレス研究所)
第2試合 3ロストポイント制 10分1本勝負
田馬場貴裕(IMPACT)
10分00秒 時間切れ引き分け(残りポイント3-3)
小林裕(フリー)
第3試合 タッグマッチ 5ロストポイント制 15分1本勝負
松本崇寿(Physical Design Works)
橋本圭右(Physical Space柔術アカデミー/quip)
11分5秒 KURO-OBI絞め
KURO-OBI(トライフォース柔術アカデミー)
岡田剛史(TKエスペランサ)
第4試合 当たり前田のニールキック杯 キックボクシングルール 3分3R
SUSHI(フリー)
2R 1分38秒 KO
井土徹也(フリー)
第5試合 3ロストポイント制 10分1本勝負
野村卓矢(大日本プロレス)
4分3秒 KO
田村男児(全日本プロレス)
セミファイナル 組技厳選MAXプレミアム格闘男児よ、震えて眠れPresents グラップリングタッグマッチ フリーエスケープルール 15分1本勝負
佐藤光留(パンクラスMISSION)
YAMATO(DRAGON GATE)
15分00秒 時間切れ引き分け
鈴木みのる(パンクラスMISSION)
渡慶次幸平(クロスポイント吉祥寺)
メインイベント 松本幼稚園Presents 5ロストポイント制 15分1本勝負
ロッキー川村2(パンクラスイズム横浜)
11分52秒 KO
和田拓也(フリー)

オープニングVのあと、大会プロデューサーの佐藤光留が登場。ついに客席もフル開放され、超満員の観客に向かって「本日は年の瀬のお忙しい中、たくさんのご来場まことにありがとうございます。今年は自分自身が厄年ということで、いろんな大変なことが起こるんじゃないかと思いながら、年始に寒川神社にお参りに行ったところ突風が吹き荒れて、駐車場で竜巻が起こるというところから1年が始まりました。その後ももう2年近く続いているコロナの影響で思うように興行が出来ず。そして観に来ていただいたお客さんも思うようにプロレスの観戦が、今まで通り出来ることもなく、結局今年もこの日を迎えることとなってしまいました。ただその中でプロレスっていうのが生きてきて、まさに今現在どういう状況にあるかってことを常に考えてやってきた1年だったので、大会名を『今』にしました。これには様々な意味があるんですが、やはり今年避けて通れないのが、LIDET UWFという初めてハードヒットの前に現れた対抗をする団体の影響です。まぁ向こうから『UWFを復興させたい。対抗戦がしたい』って言ったんですが、あまりにやり過ぎたのか昨日見た会見でも一切触れられていませんでした。ただそれが我々がいままでやってきたことだ、そしてこれからやることが“今”なんだという気持ちです。過去をすべて否定するわけではないですが、昔すごかった人、過去の栄光が素晴らしい人、それは素晴らしいことだと思います。ただそれは今があってこそ輝く過去の栄光、今も強いからこそ説得力がある昔の戦績だと思っております。常に挑戦し続けないと今というものは訪れません。挑戦をやめたら引退を…式をしていないで、もうそれはレスラーとしては終わっていると本気で思っています。このリングの上で起こることが我々の、ハードヒットの100%“今”だと、それを審判していただくものだと思って、選手一同頑張ります。今日も声が出せなかったり、休憩時間がなかったり、少し不自由をかけるかもしれませんが、何とか人の気持ち、今の気持ちを集めて来年には通常に戻れるよう頑張っていきますので、応援よろしくお願いします! ありがとうございました」と挨拶した。

第1試合は阿部諦道(浄土宗西山深草派)vs前口太尊(飯伏プロレス研究所)。まず前口が鋭い左ミドルを飛ばす。続く右ミドルをキャッチしてテイクダウンした阿部はサイドにパス。アームロックを狙うが、前口はどうにか立ち上がる。今度は前口が阿部野蹴り足をキャッチして押し倒す。立ち上がった阿部はインロー。前口も左右のローを返すが、キャッチした阿部はストレート掌底。そこから前口をガブっていき、サイドにパスした阿部はマウントを取る。肩固めを狙った阿部だが、前口は極めさせず立ち上がる。激しい掌底の打ち合いから前口の左フック気味の掌底がヒットし、阿部がグラついたところに、さらに左右の掌底でラッシュをかけた前口がダウンを奪う。立ち上がった阿部に飛びヒザで飛び込んだ前口は、そのまま首相撲からヒザ。だが、組み付いて引き込んだ阿部は一気に腕十字に捉えてギブアップを奪った。

第2試合は田馬場貴裕(IMPACT)vs小林裕(フリー)。小林が鋭い左ミドルからロー。蹴り足をキャッチした田馬場もローを返す。さらに組み付いてロープまで押し込んだ田馬場は。やや強引にスロイダーで投げてテイクダウン。サイドからガブっていっくが、スイープして上になった小林は腕十字を狙う。クラッチして防御した田馬場は、うまく上になるが小林は立ち上がる。なおもフロントネックロックを狙った田馬場だが、足をすくってテイクダウンした小林はバックマウントからガブっていく。そこからサイドにパスし、もう一度腕十字を狙うが、極めさせない田馬場はフロントネックロック。首を抜いて立ち上がった小林はスタンド勝負を要求。掌底からローを入れていく小林にクリンチした田馬場は、そのまま首投げを狙う。しかし横に転がしてグラウンドに持ち込んだ小林は、バックマウントからスリーパーを狙う。何とか防御する田馬場に腕十字を仕掛ける小林だが、田馬場はそのまま持ち上げるとバスターで叩き付ける。だが、多胎上がった小林は掌底のラッシュからミドルを連打。キャッチして投げようとした田馬場だが、小林が堪える。逆に払い腰から袈裟固めに捉えた小林だが、田馬場はヘッドロックで脱出。しかし首を抜いた小林は立ち上がってスタンドを要求。ミドルからの掌底を入れていった小林は、田馬場のソバットもかわす。組み付いて投げようとする田馬場だがスッポ抜けてしまう。そこに掌底と蹴りでラッシュをかけた小林。クリンチし脇を差した田馬場はスロイダーを狙うが、押しつぶした小林は立ち上がる。ミドルの連打で田馬場をコーナーに追い詰めた小林は、ジャンピングハイから左右の掌底を連打。さらに左ハイキックも叩き込むが、田馬場は倒れることなく10分時間切れのゴング。残りポイント3-3で引き分けとなった。

第3試合は松本崇寿(Physical Design Works)&橋本圭右(Physical Space柔術アカデミー/quip)vs小岩健一(トライフォース柔術アカデミー)&岡田剛史(TKエスペランサ)だったのだが、試合前に小岩が今大会より「KURO-OBI」に改名するとアナウンスされる。岡田は青い柔術着、そしてKURO-OBIは金のマスクに迷彩柄の柔術着姿で登場。橋本は白い柔術着、松本はグレーの柔術着。松本と岡田の先発で試合開始。両者低い体勢から潜り込んだ松本が下から絡みつく。猪木−アリの体勢から飛びつくように三角を狙った岡田だが、松本は冷静に脱出。続いて橋本とKURO-OBI。お互いに流れるように体勢を入れ替えながら関節技を狙っていく。下になった橋本が三角からバックに回っていくが、KURO-OBIも常に動いてまったく技を極めさせないまま岡田にタッチ。橋本は腕十字を狙うが、回転しながら脱出した岡田。ならばと引き込んで三角を狙った橋本だが、岡田は回転しながら腕十字を狙う。極めさせない橋本が逆に腕十字を狙うが、岡田も極めさせずTouch。松本が潜り込んでKURO-OBIを倒すが、下から腕十字を狙っていくKURO-OBI。クラッチが切れても身体を回転させながら、逆に足関節を狙った松本だが、KURO-OBIもヒザ十字で切り返す。さらにアキレス腱固めにスイッチすると、松本がエスケープ。岡田に胴タックルを仕掛けた松本だが、腕を取ってグラウンドに持ち込んだ岡田は腕十字を狙う。しかしサイドにパスした松本は逆に腕十字を仕掛けると、そこからオモプラッタにスイッチ。ここで岡田がエスケープ。橋本が岡田の足をすくってテイクダウンし、腕十字を狙う。クラッチが切れた岡田はどうにか身体を回転させて脱出。なおも腕十字を狙っていく橋本だが、これも脱出した岡田はヒザ十字を狙う。アキレス腱固めにスイッチしたところで橋本がエスケープ。KURO-OBIが引き込もうとするが、橋本はうまく防御。しかし足に絡みついたKURO-OBI。橋本は何とか防御するが、KURO-OBIは腕十字を狙う。防御する橋本はカメになるが、KURO-OBIはクロックヘッドシザースの状態から送り襟絞めに捉えるKURO-OBI絞めで橋本からタップを奪った。

第4試合はSUSHI(フリー)vs井土徹也(フリー)の当たり前田のニールキック杯キックボクシングルール3分3R。HEAT-UPを退団し、この日の夜の『GLEAT Ver.2』からGLEAT所属となる井土は、この1戦のみ“フリー”とコールされた。プレッシャーをかけていく井土に対し、左右の連打で一気に前に出たSUSHI。ボディに左右のフックを連打するSUSHIだが、井土はガードを上げたまま耐える。なおも左右のハンマーフックを連打していくSUSHIだが、井土はガードを固めたまま。ジリジリとプレッシャーをかけていき、SUSHIのストレートにカウンターのワンツースリーを合わせる。SUSHIは一気に距離を詰めると、思わず後退した井土にまたも左右のフックをボディに連打。だが、突き飛ばした井土はストレート。SUSHIもミドルから左右のフックを連打。プッシュした井土はボディブロー。明らかに嫌がっているSUSHIは後退するが、ジリジリと距離を詰めていく井土はローから左フック。これがヒットするが、SUSHIは左右のフックからアッパーでラッシュ。しかしガードを固めて防御した井土は、プレッシャーをかけながら前に出るが、ここで1R終了のゴング。
2R、拳を合わせようと不用意に前に出てきた井土に、左右のフックで飛び込んでいったSUSHI。しかし井土は後退しながらもパンチを返し、ガード隙間から顔面にパンチをもらったSUSHIは後退。チャンスと見た井土は左右の連打で一気にラッシュ。SUSHIもどうにか打ち返し、ローでそれ以上井土が前に出られないようにする。だが、SUSHIが前に出ようとするところをパンチで止めた井土は、強引に前進するSUSHIの顔面にフックを叩き込む。スタミナがキツそうなSUSHIのボディに前蹴りを入れた井土は、右ストレートから左アッパーを叩き込んでダウンを奪う。SUSHIはカウント8で立ち上がったが、井土はなおも左ストレートから左右の連打を顔面にブチ込んでいき、SUSHIは再びダウン。SUSHIが朦朧としているためカウントの途中でレフェリーが試合を止めて井土がKO勝ち。井土は四方に一礼し、ひとまずハードヒットのリングに区切りをつけた。

第5試合は野村卓矢(大日本プロレス)vs田村男児(全日本プロレス)。約3年ぶりのハードヒット参戦となる野村だが、BJW認定ストロングヘビー級王者となり、ベルトを持って入場。プレッシャーをかけながら距離を詰めていった野村は、先制の張り手。さらにミドルを入れると、フェイントを入れながらジリジリとプレッシャーをかけていく。顔面に掌底をもらった男児だが、退くことなく逆に掌底で前に出る。だが、野村は冷静にインローで男児の前進を止めると、顔面に左右の掌底を叩き込んでダウンを奪う。男児は片足タックルでテイクダウンを奪う。野村もすぐさま切り返そうとするが、一気にぶっこ抜いた男児は俵返し。立て続けにもう一度投げてダウンを奪う。カウント8で立ち上がった野村に組み付いた男児。うっちゃろうとした野村だが、スッポ抜けさせた男児はなおも組み付いていく。引き込んでいった野村はガブっていくが、立ち上がった男児。野村は前蹴りから左右の掌底。男児も前に出ながら掌底を返していくが、野村は掌底を返しながら右ハイキック。これで男児の動きが止まると、強烈な掌底からもう一発右ハイキックを叩き込んでダウンを奪う。完璧にもらってしまった男児は10カウント以内に立ち上がれず。野村は久しぶりのハードヒットでKOで完勝し、王者としての強さを見せた。

セミファイナルは佐藤光留(パンクラスMISSION)&YAMATO(DRAGON GATE)vs鈴木みのる(パンクラスMISSION)&渡慶次幸平(クロスポイント吉祥寺)のグラップリングタッグマッチ・フリーエスケープルール。光留、渡慶次、YAMATO、鈴木の順に入場。打撃なしルールということで光留はレガースのないロングタイツ、YAMATOと渡慶次は素足で登場したが、鈴木はいつも通りのリングシューズ。ハードヒット初参戦のYAMATOだが、これが初遭遇となる鈴木が入場してくると思わず恐縮。和田京平レフェリーに向かって「またオマエがいるのか」と文句を言う鈴木が先発で出てくると、光留が「じゃお願いします」と下がり、YAMATOが先発。いきなり初対決が実現。ヒザ蹴りの素振りを見せる鈴木に対し、戸惑いを隠せないYAMATOだが、グラウンドで下から足関節を取りにいく。しかし押しつぶして防御した鈴木は、YAMATOの喉に肘を押し込み、口を手で塞ぐ。必死に「レフェリー、これ反則じゃないの?」と訴えるYAMATOは、どうにか脱出してロープ際でタックル。しかし止めた鈴木は何とゴッチ式パイルドライバーの体勢に。「危ない! これ逃げられないっす」と慌てるYAMATOは、何とか持ち上げられるのを防ぐと自軍のコーナーに押し込んで光留とタッチ。鈴木はなおもYAMATOにアームロックを仕掛けようとするが、必死に場外に逃れたYAMATO。光留の片足タックルをカニバサミで潰した鈴木は、自軍のコーナーに引きずってきて渡慶次とタッチすると、光留にアキレス腱固め。まったく気が抜けない光留は、渡慶次のタックルをガブって止めるが、渡慶次は押し倒してテイクダウン。その間も鈴木は客席からイスを持ち出すと、エプロンの上に乗せて座ってみせる。光留は渡慶次を自軍のコーナーに押し込んでYAMATOにタッチ。正面から飛びついてフロントネックロックに捉えた渡慶次は、さらにアームロックを仕掛ける。起き上がってロープに押し込んだYAMATOだが、タッチした鈴木がYAMATOの足を刈ってスタンディングのアキレス腱固め。エスケープしてもなかなか離さない鈴木だが、YAMATOも「参ったしない!」と訴えながら前進。しかし鈴木はガブっていくと、グラウンドに持ち込んでマウントを取る。YAMATOも下から足関節を取ろうとするが、鈴木は取らせない。逆に鈴木が足関節を取ろうとしたところでYAMATOはエスケープ。すると鈴木が大きく足を振り上げる。慌てて逃げるYAMATOだが、鈴木はロープの上に足を乗せるとシューズの紐を結ぶジェスチャー。ストンピングを狙ったわけじゃねぇよアピール。ここでYAMATOは光留にタッチ。タックルを仕掛けた光留だが、鈴木はさりげなく渡慶次とタッチ。気付いていない光留が鈴木をロープに押し込むと、リングインした渡慶次が光留に頭突き。さらにヒザ蹴りからスリーパー。堪らずエプロンのYAMATOに向かって「見てねぇで助けてくれよ!」と光留が訴えると、YAMATOもついに渡慶次にストンピング。光留に逃げられた渡慶次はYAMATOを睨み付ける。京平レフェリーがYAMATOのストンピングを注意すると、光留が「(渡慶次は)頭突きしてましたよ!」と訴えるが、京平レフェリーは「こんにちはってしただけだろ」とバッサリ。諦めて払い腰からグラウンドに持ち込んだ光留はアキレス腱固めを狙うが、逆にアキレス腱固めを仕掛けた渡慶次。お互い極まらず、渡慶次は鈴木とタッチ。光留もタッチすると、YAMATOは鈴木に握手を求める。笑顔で応じた鈴木だが、自身の胸を叩いて「来いよ」とアピール。「おかしい! おかしい!」と戸惑うYAMATOに「じゃあ俺からね」と言って、強烈なチョップを叩き込む。なぜか京平レフェリーもこれを容認したため、意を決してYAMATOもチョップを返すが、鈴木は「DRAGON GATE、そんな程度か?」と挑発していき打撃なしルールの中でまさかのチョップ合戦。堪らず光留にタッチしたYAMATOだが、鈴木に「おい逃げるのかよ!」と言われ、再びリングインして逆水平チョップ。すると鈴木はエルボー。YAMATOもエルボーで応戦するが、残り2分となったところで鈴木は強烈なエルボー。大の字に倒れたYAMATOに向かって「来いよオラ!」となおも挑発する鈴木。そして打撃なしルールなのにダウンカウントを数える京平レフェリー。観客も手拍子で応援し、立ち上がったYAMATOは鈴木にエルボーで向かっていく。ここで光留ももうどうにでもなれとばかりにリングインし、渡慶次に襲いかかるが、待ってましたとばかりに頭突きで迎撃する渡慶次。残り1分となり、鈴木の一本足頭突きを食らい再びダウンしたYAMATOだが、「来いよ、オラ! 来い!」と挑発さると、立ち上がってエルボー。その横で渡慶次の人間魚雷頭突きをキャッチしてフロントネックロックに捉えた光留だが、スイープしてマウントを取ると、京平レフェリーが「こっち決まるぞ」と、もはやリング上はアルティメット・○ワイヤル状態に。渡慶次が光留にマウント頭突きを振り下ろす横で、鈴木と張り手の打ち合いをしていたYAMATOが「これはグラップリングだぞ!」と訴えるが、鈴木が「関係あるか!」とエルボーを叩き込み、座り込んだYAMATOに頭突きをお見舞いするというカオス状態のまま時間切れのゴング。

試合後は渡慶次も笑顔でYAMATOと握手。鈴木もてを差し出すが、YAMATOは無視して光留や京平レフェリーと握手。ふて腐れてリングサイドカメラマンと握手をする鈴木を見て、笑顔で手を差し出したYAMATO。すると鈴木は笑顔で握手を応じた瞬間、背後に回ってスリーパー。慌てて光留が止めると、鈴木は渡慶次と握手をしてから光留を指差し「UWF倒しに行くぞ!」と叫んでから退場。ハードヒットの観客から万雷の拍手を受けたYAMATOは、四方に一礼してリングを降りた。

メインイベントはロッキー川村2(パンクラスイズム横浜)vs和田拓也(フリー)。9・26『Is this HEAVEN?』で対戦した際は時間切れ引き分けだったため、決着戦として再戦が組まれた。緊張感のある間合いから、ガードを上げずほぼノーガードのロッキーに対し、和田は慎重に組み付いていく。ロープに押し込んだ和田だが、逆にコーナーに押し込んだロッキー。しかし膠着したためブレイク。がら空きの顔面に掌底を打って行く和田だが、ロッキーもすぐさま応戦。プレッシャーをかけていくロッキーに対し、飛び込んでくるのを防ごうと前蹴りや掌底で警戒する和田は、逆に掌底で前に出る。これをヘッドスリップでかわしたロッキーだが、ロープを背にしていたため和田はタックルでテイクダウンを狙う。うまく切ったロッキーだが、コーナーに押し込んでいった和田は足を刈ってテイクダウン。ハーフガードのロッキーだが、和田は足を抜いてサイドを取る。テレフォンアームロックを狙いながら、ロッキーの顔面に掌底を入れていく和田だが、歯を食いしばりながら耐えるロッキーはどうにかロープに足を伸ばしてエスケープ。かなりダメージのありそうなロッキーだが、それでもボディブローと掌底で和田の追い打ちを許さない。掌底で飛び込んでいき、和田をコーナーに追い詰めるが、組み付いた和田は体勢を入れ替えるとスロイダーで投げてマウントを取る。「来いよ! そんなものかよ」と挑発するロッキーに、三角マウントから掌底を入れていった和田は腕十字を狙う。クラッチが切れたロッキーは大ピンチだったが、どうにかロープをつかんでエスケープ。5-3となり、ロッキーは前に出て掌底を打って行く。和田も掌底で応戦するが、ヒットさせたロッキーはそのまま和田をコーナーに押し込む。だが、ガブった和田はテイクダウンを許さない。両足を刈ってなんとかテイクダウンさせたロッキーはマウントからボディへのパンチ、顔面への掌底を打ち降ろしていくが、潜った和田は下から足関節を狙う。10分が経過し、バックを取ったロッキーはスリーパーを狙う。そのまま起き上がった和田だが、以前コーナーから脱出出来ず。ここでロッキーは打撃にスイッチし、ボディブローから左右の掌底を連打。このラッシュで和田はダウン。カウント9で立ち上がった和田にノーガードで詰め寄ったロッキーは、至近距離での打ち合いに。掌底を打っていく和田だが、ロッキーはボディブローから顔面への掌底というコンビネーション。ジリジリと後退していく和田にロッキーが右のフック掌底を叩き込んだところで和田がグラリとよろめく。そこにロッキーがドロップキック。これで和田がダウン。朦朧とした状態の和田は10カウント以内に立ち上がれず、ロッキーがKO勝ち。最後は掌底を顔面に何発ももらいながらも気迫で打ち勝ったロッキー。

2大会連続での対戦でようやく決着がついたロッキーと和田。お互いに座礼をして健闘を称え合うと、ロッキーは和田にマイクを促す。マイクを持った和田が「ありがとうございました。最後、倒されてマイクを持つのもどうかと思うんですけど……去年こんなにお客さん、入れなくて。今年これだけファンのみんな、地方からも来てくれたりとか。本当ハードヒット、1年いろいろありましたけど、ありがとうございました。今、GLEATとかLIDET UWFとかやってますけど、もう正直ね、最後はね不満とか言いたくなんですよ、俺は! 言うのもね、やっぱり疲れるしね! 今、第二代不満しかない男でやっているけど、正直最後はピースで終わりたいんですよね! 今まで俺ら無名だし、メディアにも出ないし、何もなかったかのようにされる団体だけど……まぁ俺はコツコツやって続けていくハードヒット、ファンのみんなが本当に大好きで、俺は信念持って続けていこうと思います! でもね、何が令和のUだ! 何が緊張・殺伐だよ! 俺たち現在進行形のU、ハードヒットだよ! ねえロッキー!」と言って、マイクをロッキーに渡すと「エイドリアーーーーーン!!!!」と叫んで大会を締めた。

【プロデューサーの大会総括】
ーーでは大会総括を。
光留 本当にコロナに振り回されるだけで大変でしたから。それに(加えて)LIDET UWFっていうのが出てきて。対抗戦をやって盛り上がるんだったらいいんですけど、向こうが仕掛けてきた割には……自分たちの至らない点が露呈してスカされたんで。完全にこっちが割を食らっているんでね。それを吹き飛ばすような大会をずっとしたかったんですよ。そしたら今日みたいなカードが組めて、よしよしと思っていたんですけど、まぁ自分でやっていて思ったんですけど、あの(セミの)4人を呼んだらそうなりますわな。はい。そこは誤算といえば誤算だし。でも生まれたものが“今”だしって思いますね。
ーーDRAGON GATEからYAMATO選手が初参戦でしたが。
光留 僕、すんごい昔から知っているんですよ。YAMATO選手がプロレスに入る前のキャリアの時から知っているんで。パンクラスのアマチュアとか出てたんですよね。その時にアマチュアの大会に3000円払って出て、みんな握手して格闘技やって帰るのに、いきなりヘッドギアつけて相手を睨む奴がいたんですよ。「ヤベェ奴いるな!」って思って、聞いたらそのジムの選手で。「最近見ないですね」って言ったら「DRAGON GATEに行ったんですよ」って。そのYAMATO選手と今日初めてリングの上で会えたんで。もうプロレスでも一切接点ないですからね。向こうは言ったら日の浴びる東京タワーの展望台にいる人ですから。そりゃあね、世田谷とか大森のゴールドジムの下水道ですから。でも交わったっていうのは、もう“今”ですね。続けてよかったなと思うんですけど。
ーー今日見た感じだと、通常のハードヒットルールの試合でもYAMATO選手を見てみたいなと。
光留 見たいですけど、今日の鈴木さんとの試合を見て思ったんですけど、15分のハードヒットルールって短けぇなって思いましたね! ただその中で現状を打開する練習……ただ格闘技が出来るだけ、ただプロレスラーが格闘技の動きをするプロレスの時代は、それこそハードヒットが終わらせたって思っているんですけど。UWFが出来てから総合格闘技が出来て、パンクラスが出来て、リングスが出来て、KoKがあって、バーリトゥードがあって、修斗があって、今の総合の形が出来たわけじゃないですか。なのにUWFだけずーーーっと同じじゃないですか。それって“今”じゃないですよね。ハードヒット「昔」ですよ(苦笑)。それやるんだったら当時の人が見せないとモノマネでしかないと思いますし。そういう意味じゃうちは現在進行形って言ってますから! その責任はやっぱ取らないといけないと思っていますね。
ーー野村卓矢選手も約3年ぶりの参戦でしたが。
光留 そんなに!? 3年で大きくなりましたねぇ。ダンちゃんはよかったですね。パンチで前に出ていく姿が、あんな田村男児見たことない。いっつも自分の得意なところを出していくけど、言うたらムキになってワーッて前に行くダンちゃんは初めて見ましたからね。諏訪魔はああいうところを見ているのかっていう……思いますね。美容室で髪染めてんじゃねぇぞって思いました。ノムタクもぜひ出てほしいですけど、それこそYAMATO選手はちょっと前まで(ドラゲーの)チャンピオンで、野村卓矢も今、大日本のチャンピオンで。チャンピオンで呼ばれているのに立ち位置が違うじゃないですか。それがクロスオーバーする場所っていうのがあっていいなって思うし、それぞれのチャンピオンの立ち位置があるっていうのが、ちょっと嬉しかったですね。まぁうち出身の選手は出世しますから。どこにも言われてないけど。岩本煌史だって(最初は)うちが呼んだんだから。
ーーチャンピオンといえばKING of HARD HITの和田選手がロッキー選手に敗れました。
光留 いやぁ素晴らしい試合でしたね! 何がよかったって二人とも“今”って言われて感じたプレッシャーに負けない、跳ね返そうとしているっていうのがよかったですね。何か「こういうもんでしょUWFって」「こういうもんでしょ格闘技プロレスって」っていうのじゃなくて、もう“今”の川村、“今”の和田拓也が見られたのがよかったですね。何より和田拓也の地獄の15分の入り口を見て、お客さんがちょっと喜んでいるところがすごかったですね。
ーーお客さんの見る目が肥えてきたというか、選手ごとにここが面白いみたいな見方が浸透してきましたかね。
光留 渡慶次が頭突きしたら拍手起きてましたからね! グラップリングマッチだって言ってるのに! 何でなんだよ! でもいいんですよ。和田京平がいいって言ったんだから。
ーーそして井土選手が今日、キックボクシングルールで……。
光留 もう一生バイバイってことですね。いやぁ、しょうがないですよ! だってこれだけ言ってる中で彼が(GLEAT移籍を)選んだんだからいいんじゃないですか。ホント……名前は言えないけど、伊藤とか田中稔とかいるじゃないですか。あの辺はやりたくてやっているように見えないんですよ。でも井土徹也と飯塚優はやりたくてやってるじゃないですか。だからもう彼らに言うことはないです。ガンバレ! その代わりオマエらが思っているより、意外と上だよ俺は。このスタイルでっていうのは思ってますし。覆すぐらい頑張ってほしいなって思いますしね。
ーー早速、今夜(GLEATで飯塚&井土と)当たりますし。
光留 はい。関係ないですよ。今日の敵って感じです。ハンデあげますからね。
ーーとりあえず2021年のハードヒットはこれで終わりましたが、来年考えていることはありますか。
光留 あります、あります。もちろん。ただ、まずJEEEPですよ。忙しいんだから、佐藤光留は!
ーーJEEEPだけでまたやるんですか?
光留 やりますよ、またあそこで! ハードヒットは次もまた新木場だと思いますけど、ひとつ考えている大会っていうのがやっぱあるので。ハードヒットにしか出来ないことですね。トーナメントなのかワンマッチの試合なのか分からないですけど、1個考えている興行があるので。後厄ですけど頑張ります。

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