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ニコプロpresents佐藤光留デビュー20周年記念大会「変態と呼ばれて」

ニコプロpresents佐藤光留デビュー20周年記念大会「変態と呼ばれて」

ニコプロpresents佐藤光留デビュー20周年記念大会「変態と呼ばれて」
日時:2020年8月29日(土)
開場:17時30分
開始:18時30分
会場:神奈川・富士通スタジアム川崎
観衆:川崎球場大入り(主催者発表)

第1試合 タッグマッチ 20分1本勝負
青柳亮生(全日本プロレス)
井土徹也(HEAT-UP)
11分18秒 逆エビ固め
フランシスコ・アキラ(フリー)
若松大樹(2AW)
第2試合 シングルマッチ 30分1本勝負
松本浩代(フリー)
11分37秒 ロックドロップ→体固め
稲葉ともか(JUST TAP OUT)
第3試合 株式会社りくつな&にのみや歯科クリニックpresents PWF非公認試合 李日韓デビュー20周年記念ランブル 時間無制限1本勝負
田村男児(全日本プロレス)
13分48秒 エビ固め
米山香織(YMZ)
【退場順】マドレーヌ(ディアナ)→田馬場貴裕(IMPACT)→砂辺光久(reversaL Gym OKINAWA CROSS×LINE)岡田剛史(TKエスペランサ)→TAMURA(HEAT-UP)→服部健太(花鳥風月)→フランシスコ・川崎(プロレスリング・エデン)→SUSHI(フリー)立花誠吾(フリー)阿部史典(BASARA)山下りな(フリー)→ブラックめんそーれ(全日本プロレス)
セミファイナル サブロク工房&文明軒のパンpresents 電流爆破バット6人タッグマッチ 時間無制限1本勝負
ヨシタツ(全日本プロレス)
鈴木秀樹(フリー)
ロッキー川村(パンクラスイズム横浜)
9分42秒 電流爆破バットフルスイング→体固め
大仁田厚(フリー)
リッキー・フジ(2AW)
佐野直(フリー)
メインイベント A.A.Forever企画presents 佐藤光留デビュー20周年記念試合 時間無制限1本勝負
佐藤光留(パンクラスMISSION)
24分45秒 ラストライド→体固め
諏訪魔(全日本プロレス)

やや日が落ちかけてきた18時に三基の照明に灯が点る。川崎市在住の小学生を対象としたプロレス教室が開催された。そして日が落ちて、だいぶ過ごしやすい気温になった頃、主役であり主催者の佐藤光留が『Moonlight』に乗って登場。「1999年5月31日にパンクラスの旧横浜道場に入門して、2000年の2月にデビューしました。まだ19歳でした! 20周年……まさか20年…自分ではやろうと思っていたんですけど、まさか出来るとも思えませんでしたし、この興行がコロナウイルスという未知の細菌で中止を余儀なくされ、巡り巡って旧川崎球場、富士通スタジアム川崎でこのような状態で開催出来ることをまったく予想していませんでした。10年前に10周年記念興行をやったとき……もう今日は許してほしいんですけど、僕のプロレス界の父親である鈴木みのる選手が、主催者の僕以外が全員知っているサプライズのシングルマッチを僕に仕掛けてきました。僕のプロレス界の兄貴分であるNOSAWA論外選手も、さっきまで対戦したのに、鈴木さんに殴られ、倒れ、血を流している僕をリングサイドから応援してくれました。その10年後、その二人が僕のこの記念興行にいないなんて、思いもしませんでした!(観客拍手)さっき控室を見たら、HEAT-UPのTAMURA選手とパンクラス沖縄の砂辺選手だけが、10年(前の記念興行)に続き連続出場でした(観客拍手)。でもこれは、僕が一人のプロレスラーとして……まだまだ20年ぐらいで大きい顔はしませんが、ひとつ自立した佐藤光留というプロレスラーが父親、兄貴分じゃなくて、そこで知り合った沢山の仲間たちと、こうして興行を開けることが、ひとつの何かプロレスラーとしての証明だと思っています。今日は全5試合、中には縁もゆかりもないヤツも出ます。でも、縁とゆかりがあるばっかりがプロレスじゃないです。メインイベントでは“後輩”の諏訪魔が5時に来いって言ったのに、4時半ぐらいに来てくれました(観客拍手)。生意気なんで、本気で蹴飛ばしに行きます! ヤツの持っている5本のベルトは、実は佐藤光留のベルトなんじゃないかと、今日来ていない東スポの片隅に載せるくらい頑張ります。今日は見ての通り、広いです。近くで見たい気持ちも分かるのですが、どこで見ても楽しいです! 何よりプロレスは声出して見たいじゃない!(観客拍手&歓声)がっちり距離取って、明日全日本があるから大きい声じゃ言えないけど、声が枯れるまで声出して楽しんでいってください!(観客拍手)」と挨拶。

第1試合は青柳亮生(全日本プロレス)&井土徹也(HEAT-UP)vsフランシスコ・アキラ(フリー)&若松大樹(2AW)の若手タッグマッチ。和田京平レフェリーが裁く中、まずはアキラと亮生による腕の取り合いからスタート。カニバサミで倒したアキラは弓矢固め。すぐに脱出した亮生はカウンターエルボー。アキラも飛び付いてのアームドラッグからドロップキック。続いて井土と若松がヘッドロックの応酬。若松が腰投げから串刺し攻撃を狙うが、蹴りで防御した井土はスクープスラム。亮生と若松がエルボーの打ち合いに。さらに井土が逆片エビ固めで追い込むと、亮生がボディスラム。井土もボディスラムで続くが、若松はロープに振られるのを拒否。エルボーの打ち合いから若松がカウンターの正面飛びドロップキック。タッチを受けたアキラが串刺しエルボーからジャンピングエルボー。ミサイルキックをかわした井土は足取り式延髄斬りからDDT。亮生が串刺しドロップキック2連発。アキラもジャンピングエルボーを返して若松にタッチ。串刺しジャンピングエルボーからランニングエルボーを叩き込んだ若松は逆エビ固め。どうにかロープに逃れた亮生は、ハンドスプリング式エルボーアタックを返すと、ブレーンバスターからその場飛びムーンサルトを狙う。うまく丸め込んでいった若松はジャンピングエルボー。さらに勢いのあるニールキックをブチ込むが、井土がカット。バックを取った若松はドラゴンの体勢。踏ん張った亮生はカウンターのドロップキックから、今度こそその場飛びムーンサルト。そこから逆エビ固めに捉えると、リング中央に引き戻して若松からギブアップを奪った。

第2試合は松本浩代(フリー)vs稲葉ともか(JUST TAP OUT)。爆女王のベルトを巻いて入場した松本は、ヘッドロックやリストロックでグイグイ絞め上げていく。稲葉もどうにか胸板に強烈な蹴りをブチ込むが、松本はカウンターのショルダータックルでなぎ倒すと、ヘアーホイップでブン投げる。終始余裕の松本は稲葉をコーナー二段目に寝かせると、「いままでパイルドライバーにいっぱい来てくれてありがとう!」と叫んでから「稲葉ともか、ぶっ壊すぞー!」とコーナースプラッシュ。さらに強烈な逆水平チョップで稲葉を悶絶させた松本は逆エビ固め。長い時間捕まってしまった稲葉だが、どうにかロープに脱出。稲葉への声援が飛ぶ中、必死にエルボーで向かっていく稲葉だが、松本はすべて受け止める。その上で一発のエルボーで稲葉を吹っ飛ばすと、「ともか、これで終わりか!」と激。強烈なミドルキックの連打からカウンターに二段蹴り、さらにタナカレッグバーの要領で飛び付いてからのアンクルホールドで稲葉が反撃。ロープに逃れた松本だが、稲葉は串刺し式ハイキック。しかし松本はローリング張り手。稲葉も首筋をミミズ腫れで腫らしながらも「来いやオラ!」と挑発。お互いに頬を出しての張り手合戦に。重さでは敵わない稲葉は張り手を連打。「やるじゃねぇか!」と松本はブレーンバスター。松本の突進を蹴りで止めた稲葉だが、ハイキックをガードした松本はロープへ。追走した稲葉はスリーパーで捕獲。さらにシットダウンさせると、背中と胸にローキック。助走とつけてのバズソーキックをかわした松本はロックドロップを狙うが、防御した稲葉はハイキック。さらにロープに飛ぶが、松本はカウンターのラリアットで吹っ飛ばすと、ダメ押しのロックドロップで投げて3カウント。試合後、松本は稲葉の腕をあげて健闘を称えた。

第3試合は株式会社りくつな&にのみや歯科クリニックpresents PWF非公認試合 李日韓デビュー20周年記念ランブル。まずPWFのドリーファンクJr会長による「この試合はPWF認定試合ではない」という宣言書をマネージャーの大隅氏が代読。そして90秒ごとに複数の選手が入ってきて、オーバー・ザ・トップロープルールが採用されることがアナウンスされたあと、まずはSUSHI、服部健太、ブラックめんそーれ、マドレーヌの4選手が登場して試合開始。マドレーヌは服部と共闘してメルヘン棒、略してメン棒を使ってSUSHIとめんそーれに殴りかかる。真剣白刃取りをしようとするが失敗。直後、マドレーヌが服部を裏切るが、逆に丸め込まれて3カウント。続いて田村男児、立花誠吾、山下りな、田馬場貴裕が登場。立花が山下に絡んでいくが、逆に蹴られる。田村を蹴っていく田馬場だが、田村がうまくOTRで田馬場を失格させる。そこにTAMURA、砂辺光久、阿部史典、岡田剛史が登場。砂辺がリング上の選手を次々に蹴り飛ばしていくが、岡田が蹴り脚をキャッチして腕十字に。アキレス腱固めの応酬になったところで、周りの選手が二人をフォールして両者失格。阿部と立花の坊主コンビがTAMURAを攻撃していくが、TAMURAはコーナーに飛び乗る。しかし、背後から阿部が押してOTRで失格。阿部は山下に張り手を見舞っていくが、そこに謎のマスクマン、フランシスコ・川崎と米山香織が登場。フランシスコは服部にドロップキックを見舞うと、OTRで失格にさせる。さらに阿部とめんそーれを場外に出すと、トペコンを発射。だが、OTRになってしまい失格。ここで米山がリング上の選手を一気に3人に絞るため、イスを持ち込んでイス取りゲームを提案。なぜか選手たちは素直にマスクを着用してイス取りゲームに参加。その結果、米山、めんそーれ、田村の3人が残った。米山はめんそーれと共闘して田村を攻撃すると、すぐにめんそーれを裏切る。謝った米山は再びめんそーれと共闘するが、田村は同士討ちを誘い込むと、再び米山が裏切って回転エビ固め。田村も一緒に押さえ込んでめんそーれが失格になると、田村が反転して米山も押さえ込んで3カウント。田村が日韓ランブルで優勝。
試合後、ランブル出場選手がサプライズで日韓レフェリーを胴上げすると、週刊プロレスから提供された写真パネルが、大隅氏から進呈された。

セミファイナルはヨシタツ(全日本プロレス)&鈴木秀樹(フリー)&ロッキー川村(パンクラスイズム横浜)vs大仁田厚(フリー)&リッキー・フジ(2AW)&佐野直(フリー)によるストリートファイト6人タッグマッチの予定だったが、試合前に奥田リングアナからこの試合は通常の5倍の威力という電流爆破バットとストリートファイトテキサストルネードバンクハウスルールを採用することがアナウンスされた。『ワイルドシング』に乗り、「邪道の道」と書かれたノボリを持った応援団の間を抜けて大仁田組が入場。すると大仁田は青い紙に包まれた花束をリング上に置くと、手を合わせて約束通り青木篤志さんに祈りを捧げた。一方、ヨシタツは大仁田ばりの革ジャン姿、鈴木は小林軍団の袴、川村はボクシンググローブをしたまま試合に挑む。
大仁田組の奇襲攻撃で試合が始まると、いきなり大仁田が鈴木を場外に連れ出して鉄柱攻撃。川村はリッキーにパンチ。ヨシタツが佐野をリングに上げてストンピングからコブラツイスト。しかし背後から大仁田がイスで殴打。ここで川村がリングに入ってくるが、大仁田が脳天にイスを振り下ろす。鈴木が救出に入るが、リッキーがショルダータックル。しかしキャッチした鈴木はエクスプロイダー。ここで有刺鉄線バットを手にした鈴木はコーナーのボタンを押してスイッチオン。リッキーに向かってバットを振り落とすが、リッキーがかわしてコーナーに誤爆。しかし爆破の威力が凄まじく、鈴木も大の字に倒れてしまう。そこにテーブルを持った大仁田と佐野が入ってきて、鈴木をテーブルに投げつける。川村がボディブローで鈴木を救出。すると鈴木がイスの上に大仁田を座らせ、ヨシタツが有刺鉄線バットを手にスイッチオン。大仁田は必死に逃げようとするが、鈴木と川村が二人がかりで必死に抵抗する大仁田をイスに抑え付ける。そこにヨシタツがバットをフルスイング。大仁田が被爆したのはもちろん、鈴木と川村も吹っ飛ぶ衝撃。どうにか佐野とリッキーがカットに入るが、鈴木はノーマルの有刺鉄線バットで大仁田を殴打すると、スリーパーに捉える。佐野とリッキーが辛くもカットしたが、鈴木が羽交い締めにした大仁田に向かってヨシタツがノーマル有刺鉄線バットで殴りかかる。しかし寸前で大仁田がレッドミストを噴射。鈴木にはスタナーを決める。すかさず残った川村に佐野がニールキック、リッキーがカミカゼを決めると、大仁田が脳天にイスを振り下ろす。そして有刺鉄線バットを持った大仁田がスイッチオン。朦朧としている川村にバットをフルスイング。「エイドリアーン!」と絶叫しながら被爆した川村が3カウント奪われて、大仁田が勝利。

マイクを持った大仁田は「熱かったなぁ」と5倍に増やした電流爆破バットの感想を言うと、「今日は佐藤選手の20周年おめでとうございまーす! そして、そして全日本プロレスで初めて電流爆破のリングに上がってくれたのが、佐藤選手と青木選手でした。青木選手! 青木選手! ありがとう!」と叫ぶと、奥田リングアナに水をぶっかける。最後は先日の試合で折ってしまったアバラ骨の痛みに耐えながら「佐藤選手、20周年おめでとう! そして青木選手! ありがとな! 1・2・3、ファイヤー!」で締めた。

メインイベントは佐藤光留デビュー20周年記念試合、佐藤光留(パンクラスMISSION)vs諏訪魔(全日本プロレス)。エプロンで間を取って精神統一してからリングインした光留。裁くは和田京平レフェリー。光留から握手を求めると、諏訪魔が応じてから試合開始。片足タックルを仕掛けた光留だが、潰していった諏訪魔。しかし光留はアームロックを狙う。これをハンマーロックで切り返した諏訪魔だが、光留が切り返すと諏訪魔はロープエスケープ。バックの取り合いからヘッドロックに捉えた諏訪魔。光留はロープに振るが、諏訪魔はショルダータックル。ならばと下から腕十字を仕掛けていくが、諏訪魔はロープへ。だが、光留は「俺、先輩だから!」とむちゃくちゃな理由でブレイクしない。諏訪魔の左腕を蹴りながら「どうした後輩!」と挑発する光留に、怒りのエルボーを叩き込んだ諏訪魔だが、光留は「全然痛くありません!」とチョップ。さらに胸を張って挑発すると、諏訪魔は強烈なダブルチョップ。明らかに効いている様子の光留だが、それでも「全然痛くありません!」とチョップを返すと、再び胸を張る。またもダブルチョップを叩き込む諏訪魔。悶絶する光留だが、諏訪魔がチョップをしようとした瞬間に蹴っていき「隙を見せるんじゃないよ! 投げるぞオイ!」と叫んで投げようとするが、逆に諏訪魔がブレーンバスター。さらにそこからブレーンバスター2連発。光留を場外に出した諏訪魔はニーリフトから抱え上げて鉄柱に打ち付ける。リングに戻った光留だが、諏訪魔はレフトハンドラリアットから落下傘式バックドロップ。さらに逆エビ固めで追い込むが、どうにか耐えてロープに逃れた光留は必死に形相で立ち上がるが、腰から崩れ落ちる。それでも立ち上がった光留に、諏訪魔は串刺しラリアットからスロイダー。光留もどうにかラリアットをかわして延髄斬りを返すと、串刺しラリアットもかわしてジャンピングハイ。さらに串刺しミドルから「投げるぞオイ!」と叫んでから水車落としで投げてみせる。カバーから腕十字を仕掛けた光留だが、クラッチが切れた諏訪魔はロープに脱出。光留は左腕を狙うが、諏訪魔はジャンピングショルダーで形勢逆転すると、ダブルチョップから投げ捨てジャーマン2連発。それでも立ち上がる光留をスリーパーで捕まると、グッタリしたところでカバー。カウント2で返した光留だが、グロッキー状態。「ヒカル」コールが起こる中、諏訪魔は何度もカバーするが、ゾンビのように肩をあげる。両腕を掲げた諏訪魔はラリアットを狙うが、光留はカウンターのジャンピングハイからランニングミドルを叩き込んでからキャプチャードアームバー。さらにアンクルホールドにスイッチ。諏訪魔がギブアップしないとジャンピングハイからバックドロップで投げ、さらにキャプチャードアームバーへ。20分が経過し、諏訪魔も動けなくなってきたが、どうにかロープに足が届く。青木隊長の必殺技だったアサルトポイントの体勢に入った光留だが、諏訪魔も投げさせない。逆にヘソで投げるバックドロップで投げた諏訪魔だが、ダブルダウン状態に。両者立ち上がるが、諏訪魔が豪快なラリアットから投げ捨てジャーマン、ローリングラリアット、さらにハイアングルの投げ捨てジャーマンで畳みかける。対角線ダッシュのラリアットを食らってもカウント2で返す光留に対し、諏訪魔は弧を描く完璧なバックドロップで投げるが、これもカウントは2。ならばと諏訪魔は必殺技であるラストライドで叩き付けて、ようやく3カウント。全日本プロレスの象徴である五冠王者の諏訪魔だが、階級的にはジュニアヘビー級の光留が最後の最後まで食らい付き、その執念を辛くも振り切っても勝利だった。

マイクを持った諏訪魔は「佐藤、お前だけいま川崎球場のど真ん中で寝てて気持ちいいだろ? ただよ、俺の先輩を名乗るなら……そんな俺の先輩は寝てないよ! みんな今日、佐藤のために集まってくれたんじゃないの? みんなお前のために来てくれたんだよ、今日! 佐藤! 立って最後、ひと言なんか言ってくれよ! なあ、みんな! こんな凄い舞台つくったんだ、佐藤が!」と檄を飛ばすと、場内から「ひかる」コール。光留は倒れたままマイクを持つと「相変わらずやってることと、言ってることがむちゃくちゃだよ。ダメージと嬉しさで立てないだけなんだよ。俺は最強・諏訪魔以上に試合後の余韻を楽しむタイプなんだよ」と言うと、上空で光輝く月を指差しながら「みんな! みんな! アレ見える? まさかさ、自分の好きなものを20年やってさ、それが太陽の下じゃなくて、月の下でなんて思わなかったけど、こんなにいい気分ねえよ! 俺はデビュー戦で負け、10周年興行で三度負け、今日も2回負けたけど、俺より才能があったヤツ! 俺より顔がよかったヤツ、陰で俺のことを笑ってたヤツ、「佐藤なんかじゃ絶対プロレスラーなんかになれない」って言ったヤツより、長くこのリングで生きてやったぜ! 俺は今日、このリングで二つだけ言いにきたんだよ! いままで俺の背中を指差して笑ったヤツら、そしてこれからの俺を笑うヤツ! 俺はどんなに負けて、どんなにやられても、死ぬことだけ選ばなかったぜ! ざまぁみろーっ!」と絶叫。「お前ら! 諏訪魔もだ! 試合終わったら俺が先輩だ。どんなに負けても、どんなに辛いことがあっても、とりあえず1回深呼吸して、佐藤光留を見にこい! お前ら以上に負けてるぜ。誰も追いつかない、光の届かないところで生きてるぜ! でも続けりゃ出来るんだよ! 俺の言いたかったこと、もうひとつ! この川崎……富士通スタジアム川崎になったけど、俺が憧れた川崎球場、そして集まってくれた選手、五冠チャンピオン諏訪魔さん、そして京平さん、あとすべての変態ども! 本当にありがとうございました! また会おうぜ!」と締めようとしたが、諏訪魔が音楽を止めさせる。すると「佐藤、自分で終わったと思ってるだろうけど、今日はお前のためにセレモニーを準備した」と言って、出場選手を呼び込む。何と大会主催者でもある光留へのサプライズで20周年をお祝いすることに。リング上には大仁田も入ってきたが、本来このサプライズを企画した川村が試合のダメージで来ることが出来ず、松本が代理でボクシンググローブを贈呈するが、光留は客席に投げ捨てる。かなり段取りがグダグダになりながらも諏訪魔からは、しなもろ12時間Tシャツやプロテインバー束など、秀樹からはニコプロのロケ中に雑貨屋で購入した、「20」と書かれた謎のタイルが光留にプレゼントされた。さらに光留の実弟であるindigo la Endの佐藤栄太郎さんもリングに上がり、「20年おめでとうございます」と兄に花束を渡した。光留が「どいつもこいつも何度も何度もサプライズ仕掛けてんじゃねぇよ! 仕掛けるなら段取りと今日の延長料金調べてこい! けど、ここで発表させてもらうぜ。2ちゃんで散々バカにされているけど、今日真っ黒字でした!(大歓声)2ちゃんで赤字って言っていたヤツもざまぁみろ! 照明(スポンサー)はMacro Theos! 当たり前田のニールキック(婚活中)! そしてもう一人(のX)はさっき死んだけどロッキー川村の嫁エイドリアンでした!(大歓声)人生、何があるか分からんねえ! これだからやめられねぇな! これからもざまぁみろとありがとうで生きていくぜ! それじゃあもう一度、ありがとう!」と、改めて締めの挨拶。最後は諏訪魔と大仁田に挟まれて記念撮影をすると、諏訪魔と大仁田も握手を交わすというドラマティックなエンディングとなった。

【プロデューサーの大会総括】
光留 (路上に倒れたまま)ざまぁみろ! ざまぁみろ、どいつもこいつも! 初めて勝った気分だぜ。ざまぁみろ。何でも聞いて! 何でも答えてやるよ、勝ったから。
ーー諏訪魔選手と一騎打ちやってみて、改めていかがでしたか?
光留 諏訪魔君もよく頑張っているよ。20年の選手をこんだけ追い詰めたんだから。忘れるな! あの日から! あの日から全日本プロレスは“諏訪魔全日本”なんだ。社長が代わろうが、体制が変わろうが、諏訪魔全日本なんだよ! だから俺はあんたと一緒に歩いているんだよ、忘れんなよ!  先輩からの助言だ……明日、頑張ってください。クソ、ざまぁみろ。
ーーやる前はかなり悩んだり、落ち込んだりすることもあったようですが、結果的に黒字で成功だったわけですが。
光留 ヘっ、ざまぁみろ! 病原菌だって、未知のウイルスだって、ざまぁみろだ! へっ、止められるものなら止めてみやがれ! いままで「佐藤じゃ出来ない」「あいつはすぐ辞める」「コイツはいいな」雑誌だってどんなにやったって載らねぇし、ハードヒットなんか誰も来なかったよ! 「UWFでもねえ」「ニセモノだ」何でも言ってやがれ! でも今日、ここで立っていたのは佐藤光留だ! ざまぁみろだ、クソ野郎! いま俺を笑ったヤツ、俺の陰口言ってたヤツ、どの顔下げていま地球上を歩いてる? 俺は地面に寝転がっているかもしれねぇし、太陽の光も浴びてないけど、川崎球場の明かりを浴びてるぜ。これが誰に出来たんだ? 佐藤光留だけど。ざまぁみろ!
ーー川崎球場のど真ん中から見た景色はいかがでした?
光留 最高だったね! 宮原健斗にも見えてねえ、最高の景色だったよ! 万人が望んでないかもしれないけどな、昼があれば夜があるんだよ。ありがたがって太陽浴びて、ヒマワリだなんだと言ってろ! mihimaru GT聴いてろ! 俺は長渕剛を聴いてやるぜ! へっ!
ーー憧れた大仁田厚を今日は自分のライトで照らしましたね。
光留 へへへ……最高だったね! 大仁田さんが喜んでくれて。あの日、FMWには(書類選考で)落ちたけど辞めなかったからだね、これも。辞めなかったら辿り着いたよ。これから何があるのかな? 楽しみだな。渕正信超えだ! 和田京平超えだ! 今日はいなかったけど、いつか鈴木みのるだって超えてやるぜ。出来るよ。辞めなきゃいいんだ。チクショー。
ーー改めてこの会場でのチャレンジを振り返ってみて、いかがでしたか?
光留 地獄! 本当に地獄。マジで地獄。下水道! クセぇし、光当たらねぇし、キターと思ったらネズミだしよ! でもドブネズミがたくさんいれば、これだけのものが出来るのさ。カネこしらえて出来るのさ! LEDだけが照明じゃねえんだよ。ざまぁみろ! 地獄でも楽しかったよ。また違う地獄を見に行ってきまーす! また地獄で会おうや。OK、ありがとうございました! 来なかったヤツ、週刊プロレスの大部分、ざまぁみろだ!
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