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ニコプロpresentsハードヒット「レガースを履いた侍」

ニコプロpresentsハードヒット「レガースを履いた侍」

ニコプロpresentsハードヒット「レガースを履いた侍」
日時:2018年3月17日(土)
開場:17:00
本戦開始:18:00
会場:東京・新木場1stRING
観衆:ほぼ完売(超満員=主催者発表)

ダークマッチ 5分1本勝負(延長3分)
井土徹也(HEAT-UP)
延長 時間切れ引き分け
清水来人(夢闘派プロレス)
第1試合 シングルマッチ10分1本勝負
和田拓也(フリー)
0分27秒 腕ひしぎ十字固め
服部健太(花鳥風月)
第2試合 シングルマッチ10分1本勝負
小池秀信(GRABAKA)
3分37秒 三角絞め
飯塚優(HEAT-UP)
第3試合 グラップリングタッグマッチ15分1本勝負
青木篤志(全日本プロレス)
SUSHI(フリー)
9分07秒 フロントネックロック
松本崇寿(リバーサルジム立川ALPHA)
クリスMAN太郎(クリス事務所)
第4試合 シングルマッチ10分1本勝負
中台戦(TEAM OVER KILL)
2分24秒 KO
首里ジョー(琉球ドラゴンプロレス)
第5試合 シングルマッチ10分1本勝負
伊藤崇文(パンクラスism)
10分00秒 時間切れ引き分け
鶴巻信洋(フリー)
第6試合 シングルマッチ10分1本勝負
岩本煌史(全日本プロレス)
5分46秒 肩固め
阿部諦道(浄土宗西山深草派)
第7試合 シングルマッチ10分1本勝負
鈴木秀樹(フリー)
4分44秒 クロスフィックス
唐澤志陽(M16ムエタイスタイル)
セミファイナル Road to 「U」柔術公開スパーリング5分2R
佐藤光留(パンクラスMISSION)
スパーリングのため勝敗なし
関根シュレック秀樹(ボンサイ柔術)
メインイベント タッグマッチ15分1本勝負
高橋”人喰い”義生(藤原組)
 ロッキー川村(パンクラスイズム横浜)
15分00秒 時間切れ引き分け(残りポイント2-2)
杉浦貴(プロレスリング・ノア)
 野村卓矢(大日本プロレス)

ダークマッチ終了後、主催者でありプロデューサーの佐藤光留が登場。「フワッと見たところ今日も黒字かな」といきなり言い出した光留は、「今回は僕がお正月に必殺仕事人を見過ぎた影響で、サブタイトルがレガースを履いた侍ということになりました。結果としてセミファイナルで自分がRoad to U、頭文字がUの人に向けて自分の柔術の動きをまず見せる試合、そしてメインイベントでタッグマッチを組んだのですが、結果的にセミファイナルとメインイベントでレガースを履いた人間が一人ないし二人。他の試合も両方ともレガースを履いた試合というのが、過半数を割るという……なかなかうまくいかないのも、予定と違うのもハードヒットのいいところだと思いますが、元々自分がテレビの見過ぎで侍とはこういうものだっていうイメージで話を進めたんですけど、元々自分たちが持っている侍というイメージは、すごくカッコイイものであるとか、高貴な身分とかっていう印象なんですけど、実際は本当に食うにも困り、家もなく、刀一本で何とか生き抜く人種だったという話も伝え聞きます。今、プロレスというのがもう一度大きなブームになりまして、様々なスタイルがある中で、一体自分たちが信じるプロレスはどうなるんだというのは、常にハードヒットのプロデューサーとして1年中365日、ほぼ毎日ドキドキして、自分も実は『このスタイルじゃないほうがいいんじゃないかな』『長生き出来るんじゃないかな』いろいろ考えるんですけど、どうしても諦めきれない! その気持ちがたぶん当時の侍さんと同じじゃないかと勝手に思っています。ただ昔も侍とはこうあるものだってものじゃなくて、自分が思ったことを貫き通したら、それが後世に『お侍さんとはこういうものだったんだよ』というイメージで伝わったんだと思っています。だとしたら、自分がやっていることは決して日本人の侍と名乗るものとして間違っていないと思っています。本日は9試合、試合数としてはちょっと多いんですけど、会場の使用時間もありますので出来るだけ早く試合を終わらせたい! そのためには全員焚きつけてきました。長い試合も大変だと思います。プロレスの醍醐味だと思います。でも一瞬、自分たちの武器を…掌底を、レスリングを、投げを刀に変えて、一瞬で相手を仕留めることもプロレスの醍醐味だと思っています。このスタイルを信じて今日も、そして今年も頑張っていきますので皆さんの熱い応援をよろしくお願いします! ありがとうございました!」と挨拶。そこからダークマッチに出場した清水来人をリングに上げて、プロデューサー自らハードヒット公式ルールを説明。第3試合のグラップリングタッグマッチとセミファイナルの柔術公開スパーリングはロストポイントなし。

第1試合は和田拓也(フリー)vs服部健太(花鳥風月)。サンボ着を着て入場した和田。服部が掌底からバックに回って飛びついてのスリーパーに捉えるが、横に落として逃れた和田は逆に飛びつき腕十字を極めて秒殺勝利。

第2試合は小池秀信(GRABAKA)vs飯塚優(HEAT-UP)。ローの蹴り合いからしつこく小池の左足に絡みつき、逆片エビ固めを決めたところでエスケープを奪う。蹴り脚をキャッチした飯塚だが、逆に両足をすくって上になった小池がマウントにスイープして腕十字。これでエスケープを奪い返す。ならばとタックルでテイクダウンした飯塚は腹固めの体勢から回転してスリーパーに入り、またもエスケープを奪う。しかし小池は払い腰で投げてマウントを取るとアームロックに捉える。飯塚は必死にエスケープして、両者残り1-1。ここで飯塚はビクトル投げからのヒザ十字を狙うが、小池はスリーパーで切り返す。飯塚が防御しようとするが、下になった小池は三角絞めで捉えてタップを奪った。

第3試合は青木篤志(全日本プロレス)&SUSHI(フリー)vs松本崇寿(リバーサルジム立川ALPHA)&クリスMAN太郎(クリス事務所)のグラップリングタッグマッチ。青木はこの日もハードヒット用マスクを着用。松本の寝転がった状態での独特な構えに青木も戸惑い気味。下から足を絡めていく松本だが、青木もレスリングの動きで対応。SUSHIとクリスマンは脇の差し合いからお互いにテイクダウンを狙う。肩固めを仕掛けたクリスマンだが、うまくSUSHIが脱出するとクリスマンは松本にタッチ。アキレス腱固めを仕掛けたSUSHIはヒザ十字にスイッチしようとしたが、転がりながら脱出した松本。SUSHIが青木にタッチすると、青木は松本の足をうまくさばいてアキレス腱固め。松本は何とか手を伸ばしてクリスマンにタッチ。脇の差し合いから青木が背負い投げ。しかしクリスマンは密着してスリーパーを狙う。青木はクリスマンの左足を掴んでヒザ十字を狙ったが、手を伸ばして松本にタッチ。SUSHIがグラウンドからジャーマンでぶっこ抜こうとするが、松本はビクトル投げで防御。SUSHIはスタンディング・アキレス腱へ。松本が防御すると飛行機投げ。素早く下から三角絞めを仕掛けた松本。SUSHIは一度持ち上げたが、脱出できず。ならばとSUSHIは強引にステップオーバーして変形のストレッチマフラーに。そこから得意の逆片エビ固めに移行したが、松本は引きずっていき、そのままクリスマンにタッチ。かなり披露困憊のSUSHIをガブったクリスマンは、そのまま後方回転してネックロックに捉えるとSUSHIはタップアウト。

第4試合は中台戦(TEAM OVER KILL)vs首里ジョー(琉球ドラゴンプロレス)。共に打撃を得意とするため、スタンドでの掌底とボディへのパンチ。中台のハイキックをかわした首里ジョーは、一気に距離を詰めて頭部に左右の掌底。これでダウンを奪うが、立ち上がった中台は一気に前に出てきた首里ジョーにカウンターのストレート掌底。さらに顔面にヒザを2連続で叩き込んでダウンを奪い返す。クリーンヒットした首里ジョーは立ち上がれず10カウントが数えられ、中台のKO勝ち。

第5試合は伊藤崇文(パンクラスism)vs鶴巻信洋(フリー)。いわゆる回転体の状態でお互いにグラウンドでも動き回る。伊藤がクルックヘッドシザースや腹固めを仕掛けていくが、鶴巻も防御。マウントを取った伊藤は腕十字を狙うが、鶴巻は中腰の状態からボディにパンチを振り落とす。ならばと三角絞めを仕掛けた伊藤だが、サイドにパスした鶴巻は自ら立ち上がる。バックを獲った鶴巻は強引に投げようとしたが、横に転がした伊藤はアキレス腱固め。しかし鶴巻も逆にアキレス腱固めを仕掛ける。苦痛で顔を歪めながらヒールホールドで切り返した伊藤は。逃げようとする鶴巻をフェイスロックに捉える。しかし鶴巻もヒザ十字で切り返すとヒールホールドへ。伊藤は張り手を打ってきた隙を突いてクロスヒールホールド。鶴巻もアキレス腱固めを再び決めるが、どうにか脱出した伊藤は逆片エビ固めからアキレス腱固めへ。上体を起こしてボディにパンチを落とした鶴巻はガッチリとアキレス腱固め。伊藤はレスリングのローリングの要領で脱出すると弓矢固めを仕掛ける。すぐに崩れると伊藤はアキレス腱固めへ。鶴巻もアキレス腱固めを仕掛けるが、伊藤は一転して上半身に絡みつきキーロック。鶴巻は反転して足関節を仕掛けるが、残り1分となり、お互いにクロスヒールホールドを狙うが、そのまま10分時間切れ引き分けとなった。

第6試合は岩本煌史(全日本プロレス)vs阿部諦道(浄土宗西山深草派)。青い柔道着を着た岩本に対し、これが初参戦らしい阿部は僧侶の格好で入場して岩本に一礼。積極的に前へ出ていった阿部はグラウンドでもドンドン仕掛けていく。回転しながら止まらない阿部から一旦離れた岩本は、阿部のタックルを切ると腕十字へ。クラッチが切れた瞬間、すぐに脱出しようとした阿部だが、岩本は冷静にもう一度腕十字に捉えてエスケープを奪う。巻き投げでグラウンドに持ち込んだ阿部はしつこく足に絡みつく。強引に逃れようとした岩本にアキレス腱固めを決め、岩本もエスケープ。阿部の蹴りに掌底で対抗した岩本。タックルに来た岩本をガブった阿部だが、突き飛ばした岩本は電光石火の大外刈りで叩き付ける。しかし阿部は素早くワキ固めへ。さらに腹固めにスイッチすると、逃れようとする岩本をスリーパーに捉えていき、岩本から二度目のエスケープを奪う。リードした阿部はバックブロー掌底から前蹴りを出すが、素早く組み付いた岩本は裏投げ。完璧に決まり、阿部はダウン。どうにか立ち上がったが、明らかにダメージはある。お互いに残り1ポイントとなり、巻き投げでグラウンドに持ち込んだ阿部だが、岩本はうまく阿部の腕を抱え込んだまま立ち上がると必殺の孤高の芸術。そこから一気に肩固めに捉えて勝利。終わってみれば岩本の強さが際立ったが、阿部の成長(初参戦だが)もよく分かった一戦となった。

第7試合は鈴木秀樹(フリー)vs唐澤志陽(M16ムエタイスタイル)。明らかに体格差があるが、唐澤は鈴木のまわりを回りながら積極的に蹴っていく。ローだけでなく、ミドルとハイを打ち分けていった唐澤だが、タックルでテイクダウンしてグラウンドに持ち込んだ鈴木。必死に立ち上がろうとする唐澤だが、パワーと体格でねじ伏せる鈴木。コーナーに押し込んでいった鈴木は、立ち上がろうとする唐澤の両足を刈ろうとしたが、ここはブレイク。首を傾げながら蹴っていく唐澤に対し、低い姿勢からのタックルでテイクダウンを奪った鈴木は、エビ固めでの押さえ込みからリバースバイパーホールドのような技を狙う。ここで唐澤は早めにエスケープ。立ち上がった唐澤は左ミドルから、ボディにソバットを叩き込んで鈴木からダウンを奪う。落ち着いて立ち上がった鈴木だが、ダメージはある模様。唐澤は再びソバットからハイキックを狙ったが、キャッチしてキャプチュードを狙った鈴木。唐澤は必死にグラウンドに持ち込むが、鈴木はバックからハーフガードにすると、グラウンドコブラに捉えてギブアップを奪った。

セミファイナルは佐藤光留(パンクラスMISSION)vs関根シュレック秀樹(ボンサイ柔術)の柔術公開スパーリング5分2R。Road to 「U」と名付けられたこのスパーリングだが、光留は黒の柔術着に紫帯、関根は白い柔術着に黒帯。関根のまわりを回りながら掴んで引き込もうとする光留だが、逆にグラウンドに引き込んだ関根は下になった状態から、両足で光留の体をコントロール。光留は何とか足関節を狙おうとするが、回転して防御した関根は逆にレッグスプリットのような体勢に。光留が自ら立ち上がると、猪木−アリのような状態に。下から光留の襟を掴んで投げた関根は胴絞めスリーパーの体勢に。防御しようとする光留に腕十字を極めると、光留はタップ。背負い投げ投げた光留だが、わざと投げられた関根はそのまま密着すると、グラウンドでのパロ・スペシャルのような技でタップを奪う。またも引き込んでヒザ十字からヒールホールドを狙った関根だが、光留は上体を起こして上になる。しかし襟を掴んで絞めた関根が腕十字を狙おうとしたところで1R終了のゴング。
2R、光留の片足タックルを潰した席ねはバックマウントから腕十字を仕掛ける。うまく防御した光留は襟をつかみながら仕掛けようとするが、逆に下から襟を掴んで関根が送り襟絞めを決めてタップを奪う。タックルから飛行機投げで投げた関根に、下から仕掛けようとする光留だが、諦めて立ち上がる。すると足をかけて倒した関根は背後から絡みつく。光留は息を切らせながら必死で食らい付くと、フロントネックロックを仕掛けていく。簡単に首を抜いた関根は腹固めにようた体勢に。反転した光留だが、関根は足で光留の右肩をフックしてのフェイスロックに捉えてタップを奪う。右ヒジにダメージを負った光留だが、下からすくい上げるように光留を倒した関根は、アキレス腱固めを狙う。逆にアンクルホールドを仕掛けた光留は、反対側の足に飛びついてヒールホールド。これで関根がタップ。意地の一本を取ってみえた光留はもう一度足関節を狙うが、関根も極めさせず終了のゴング。

試合後、マイクを持った関根が自己紹介をすると「一応、今日本で柔術をやっている人間だと、一番強い人間だと…人間? 人間ですよね。人間です! 自負しております。今回、ハードヒットさんのほうから『このリングに上がらないか』とお話をいただきましたが、自分も学生の頃、Uインターに狂っていた時期があり。実際に自分もUインターを目指していたんですけど、大学4年の卒業間近に活動休止に追い込まれてしまい。で、仕方なくそのとき警察官を受けて20年間やってまいりました。警察官のほうは1年ちょっと前に辞めまして、今は格闘技に専念しています。今回、すごく大好きで、自分のアイデンティティを作る大きなUインターの系譜を継ぐリングということで、当時一番好きだったゲーリー・オブライトの入場曲で入場させてもらいました。出来ればまた自分の夢としては、レガースを履いてこのリングでやってみたいと思います」とハードヒットルールへの挑戦を表明。Uインターの話が飛び出して、誰よりも嬉しそうな和田良覚レフェリー。
それを聞いて、上着を脱いで上半身裸になった光留が「では公開オファーを」と言うと、関根も上半身裸に。観客からは「今やれ!」という声も飛んだが、関根は「レガースを持ってきていない」。光留は「いろいろ事情があって、今日何度やられても今の柔術の実力はこれなんだと、日本一強い柔術家とやれてよかったと思っています。さっき諦めたって言ったじゃないですか。でもまだ関根さん、生きてるじゃなですか! こんな強いじゃないですか! じゃあ今からだって遅くないと思うので、ぜひ次レガースつけてハードヒットのリングで試合してみませんか?」と公開オファーすると、関根も「望むところです」と即答。現時点で次回大会は決まっていないが、光留は関根ありきで次回大会を決めると約束すると、「いつか関根ゲーリー秀樹になる日を! ハードヒットなんでもアリですから! 恐いものなんかないですから! 大事なのは格闘技を愛する気持ちだけですから、必ずオファーしてこのリングで待っています。ただし! 相手は僕じゃない可能性もあるんで! そらそうだ! この関根さんとやりたい奴、控室にたぶんたくさんいるはずだから。とんでもない奴を用意しますから、いろんな意味で!」と言うと、UWFメインテーマが会場に鳴り響いた。

メインイベントは高橋”人喰い”義生(藤原組)&ロッキー川村(パンクラスイズム横浜)vs杉浦貴(プロレスリング・ノア)&野村卓矢(大日本プロレス)。GHCヘビー級王座を戴冠したばかりの杉浦だが、これがハードヒット初参戦。高橋がリングインするなり、その杉浦に近づいていき、額をくっつけて睨み合う。高橋は川村に「俺にいかせろ」と要求。すると野村が先発かと思われた相手チームも杉浦が先発を買って出る。高橋はゴングが鳴ると、握手を求めていく。杉浦が応じると、「やるか? よし!」と気合いを入れる。脇を差した杉浦はいきなりスロイダーで投げていく。杉浦のタックルを切ろうとした高橋だが、杉浦がうまく上になって潰す。マウントを取った杉浦に「いいよ、来いよ。来てごらん」と挑発した高橋。マウント張り手を叩き込む杉浦に下からストレート掌底を入れた高橋は、スイープするとボディへの鉄槌から顔面に掌底。下から腕十字を狙った杉浦だが、高橋が「俺が教えた技じゃねえだろ!」と言うと、スイープした杉浦はマウント張り手。だが、高橋は「効かねぇな!」と挑発して杉浦の顔を抱え込む。杉浦が立ち上がると、高橋は控えの川村に「オマエは出てくるな」と制止してからノーガードで杉浦を挑発。一瞬エルボーを打ちそうになった杉浦だが、ハードヒットでは反則のため躊躇したところに、高橋が張り手。すると杉浦も張り手を返す。「来いよ、倒せないだろ?」と挑発してニヤリと笑った高橋は、藤原喜明そっくりな張り手。揉み合いになり、杉浦がコーナーまで押し込むと川村が勝手にタッチ。それを見た杉浦も野村にタッチ。ステップとスウェーで野村の打撃をさばこうとする川村だが、野村も掌底からボディへのミドルキック。野村の打撃が見えている川村はノーガードでかわしながら掌底を叩き込む。野村も川村をロープ際まで追い込んで左右の掌底を顔面に叩き込むと、体勢を入れ替えた川村が掌底のラッシュをかけようとした瞬間、野村の左フック気味の掌底がクリーンヒット。ダウンした川村だが、よろけながらもどうにか立ち上がる。そして背中から高橋がタッチ。野村は鋭いミドルを打っていくが、返す刀で高橋の右の掌底がヒット。野村は人差し指で「来い、来い」と挑発しながら前へ前へと出ていく。掌底とミドルで高橋を後退させた野村。思わず高橋もヒザを出すが、ニーパットをしていないので反則。それでもフロントネックロックに捉えた高橋は野村からエスケープを奪う。杉浦はバックを取ってリフトすると、マットに叩き付けて上になる。サイドにパスした杉浦はアームロックを狙う。防御する高橋だが、マウントにパスした杉浦は肩固めへ。杉浦はニーオンザベリーから次の攻撃にいこうとするが、高橋が立ち上がれない。レフェリーがダウンを取ると、脇腹を押さえた高橋は何とか立ち上がるが、川村にタッチしてエプロンで倒れてしまう。川村は組み付いた杉浦のボディにパンチ。さらにロープに押し込み、ブレイクする際に張り手。「カモン、チャンプ!」と挑発した川村に、飛びついてフロントネックロックに捉えた杉浦。川村がエスケープして残り2ポイントに。野村が出てきたところに左右の掌底を叩き込んでダウンを奪った川村。カウント9で立ち上がった野村だが、川村は一気に掌底のラッシュ。野村も左右の掌底を返していくが、川村のほうが的確に野村の顔面に掌底を叩き込み、またもダウンを奪う。野村が立ち上がったところで杉浦にタッチ。スロイダーで川村を投げた杉浦はバックマウントから一気にスリーパー。何とか逃れた川村だが、マウントを取った杉浦は掌底。さらにバックマウントからスリーパーを狙う。どうにかズラしていく川村だが、杉浦はなおもマウントからサイドにパス。残り30秒で自ら立ち上がった杉浦は、川村に掌底勝負を挑む。得意の打撃だが、川村は仕留めきれず、逆に杉浦の掌底を浴びたところで時間切れ引き分け。残りロストポイントは両チームとも2ポイント。

どうやら右脇腹を痛めた高橋は、エプロンで立ち上がることも出来ずしゃがみ込む。それでも意地で立ち上がった高橋はリングインすると、苦痛で顔を歪めながら四方の客席に一礼すると、杉浦と握手。何やら言葉を交わしたあと、野村とも握手をして言葉をかけた。杉浦が川村に握手を求めると、川村は何度も頷いてからガッチリと握手。苦しそうに倒れ込む高橋を杉浦と野村は見つめるしかなかった。

【プロデューサーの大会総括】
 ーー大会の総括をお願いします。
光留 えー、レガースをつけていない人が14人いました! でも大会名と内容が必ずしも一致する保証はないんだっていうのを改めて知りました。次回からどうなってもいい副題を付けていこうと思っています。次回決まってないですけど。
ーーご自身の柔術公開スパーリングでは一本取りました。
光留 足関節はアレ、厳密に言うと柔術の反則を二人ともたくさんしてるって言う。外掛けもしてるし、僕のヒールホールドも禁止ですから。ただその制約…リングの中でギブアップしたら……実は結構、互いのプライドがルールなんです、そういう意味じゃ。その点でもしかしたら純正柔術じゃないかもしれないですけど、それはそれで。
ーー試合後、関根選手から「UWFに憧れていた」という発言があり、公開オファーとなりましたが。
光留 UWFとか昔のプロレスじゃんとか、もっと言えばプロレスと格闘技は別物だって言う人もいるけど、でもやっぱり当時のアレがなかったら今のMMAもないっていうのは、間違いない事実ですから。っていうことは、アレに憧れた人がMMAに移行しても、もう1回そこも知ってみるっていうのも(アリじゃないか)。歴史を知ることはね、知識が増えるってことですから。知識が増えるってことは、これはもう間違いなく強さにつながると思ってますからね。だから本当に次は出します!
ーー対戦相手は自分じゃないかもしれないと言ってましたが、当ててみたい選手はいますか?
光留 うーん……どうでしょう。BASARAの選手はもう出てませんし。
ーー今日、BASARAの選手は出てませんよ。
光留 お坊さんも2回目は飽きるし(苦笑)。新鮮さが売りなんでウチは。第7試合で鈴木秀樹選手と唐澤選手がやったときなんて、体重差をムエタイの選手がどうするんだろうって思ったときに、やっぱりムエタイの引き出しをもっともっと出してほしかった。(鈴木は)キャッチの秘技を最後に出しましたから。そういう部分では関根選手も持っているんじゃないかと。関根シュレック秀樹しか持っていないものってあるんじゃないかと思っています。
ーーじゃあ、ご自身も含めて面白い相手を当てようと。
光留 はい。
ーーメインでは現GHCヘビー級王者として杉浦選手が初参戦し、高橋選手とかなり激しい試合をしてましたが。
光留 やってましたねぇ。今から控室行くのが恐いんです(苦笑)。そらそうですよ。頭に血がのぼった猛獣たちの檻にわざわざ入っていく奴いないでしょ(苦笑)。
ーー高橋選手は途中、負傷してしまったようですが。
光留 ケガしないのが理想ですけど、必ずしも保証はないですから。何かやっぱり風潮に……俺は野村卓矢選手じゃないですけど、風潮になぞられなきゃいけないっていうのは受け入れられないんですよ。だって今こういう風潮だってみんな言ってますけど、10年前にはなかったものだったのに。もちろん、時代は時代なんですけど、10年で変わるもの・変わらないものありますから。やっぱ変わらないものがあるっていうのはしょうがないですよ。
ーー次回大会は決まっていないということですが、大体この辺にやりたいなと思う時期は?
光留 梅雨が明けたぐらい。あっついときに。あとこの間、クラブチッタ川崎を見に行ったんですよ、別件で。この会場いいなと思って。今年の12月30日ぐらいにまたやろうと思っているので。今年はあと3か4……4やりたいな。クラブチッタは寝技だけの大会で、もうリングなしで。キミの寝技に恋してる(苦笑)。もう題名だけ決まっているんですよ。会場と日にちと選手が決まっていないだけで。大会名は“キミの寝技に恋してる”です。
ーー杉浦選手の試合を見ていて、試合ぶりや強さの質を感じる部分はありましたか?
光留 出来れば自分がやりたいなって。川村には勿体ないなって(笑)。僕、杉浦さんとは1回試合したことがるんです。鈴木軍の杉浦さんと。その時はイスでぶっ叩かれましたけどね。でも川村がそこを引き当てる、ロッキー川村の生き方だったから、高橋さんの横にいたから、最後杉浦さんとあんなに激しいやり合いが出来たんで。ただ、あの一生にもしかしらら1回かもしれないところで、獲れなかったってところに人生っていうのは出てしまうと思うので。本当に自分の人生決めるのなんか、本当に一瞬なんですよ、もしかしたら。一瞬、一瞬で侍は生きていましたから。もう1回呼ぶのは大変だな。だってそれまでは杉浦さんはOKでもGHCヘビー級チャンピオン……その週の週プロの表紙がハードヒットに出たのは初めてなんですよ。たぶん。GHCヘビー級獲ってから最初の試合がハードヒットですからね(苦笑)。いろいろアレがアレですから。無理言って。そのワンチャンス、15分の中で杉浦さんと最後あそこまでいって(川村には)仕留めてほしかったなと。仕留めたらNOAHが二度と選手貸してくれなくなるんだろうなと(苦笑)。そしたらその時、考えますよ。ちゃんと計画立てて準備していたって、何が起こるか分からないんですから。
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