ニコプロpresentsハードヒット「Fight After Fight」
日時:2022年12月31日(土)
開場:17時00分
開始:18時00分
会場:新宿FACE
観衆:2022人(主催者発表)
ダークマッチ 当たり前田のニールキック様presents 30分マラソングラップリングルール | |
△ | SUSHI(フリー) |
30分00秒 6−6 | |
△ | KURO-OBI(トライフォース柔術アカデミー) |
第1試合 3ロストポイント制 10分1本勝負 | |
△ | 前口太尊(飯伏プロレス研究所) |
10分00秒 時間切れ引き分け(残りポイント3-3) | |
△ | 渡辺壮馬(GLEAT) |
第2試合 3ロストポイント制 10分1本勝負 | |
○ | 松本崇寿(Physical Design Works) |
4分15秒 帯絞め | |
● | 服部健太(フリー) |
第3試合 新太平洋運輸株式会社presents 3ロストポイント制 10分1本勝負 | |
○ | 橋本和樹(大日本プロレス) |
6分11秒 卍固め | |
● | 岡田剛史(TKエスペランサ) |
第4試合 株式会社りくつなpresents 越谷系格闘探偵ルール タッグマッチ 30分1本勝負 | |
阿部諦道(浄土宗西山深草派) | |
○ | 田村男児(全日本プロレス) |
14分30秒 ダンロック | |
● | 十文字アキラ(JUST TAP OUT) |
小林ゆたか(夕月堂本舗) |
第5試合 3ロストポイント制 10分1本勝負 | |
△ | 和田拓也(フリー) |
10分00秒 時間切れ引き分け(残りポイント2-2) | |
△ | 門馬秀貴(Brighness) |
セミファイナル デッドリフ太郎様/三室亜生様/松本幼稚園presents タッグマッチ 5ロストポイント制 15分1本勝負 | |
△ | 佐藤光留(パンクラスMISSION) |
川村亮(パンクラスイズム横浜) | |
15分00秒 時間切れ引き分け(残りポイント1-1) | |
望月マサアキ(DRAGON GATE) | |
△ | 望月ジュニア(DRAGON GATE) |
メインイベント RYSKパートナーズpresents 5ロストポイント制 15分1本勝負 | |
○ | 鈴木みのる(パンクラスMISSION) |
1分5秒 アキレス腱固め | |
● | 椎葉おうじ(フリー/第1回Break Through Tournament優勝者) |
ダークマッチではSUSHI(フリー)vsKURO-OBI(トライフォース柔術アカデミー)の30分マラソングラップリングルールが行われた。この試合はフリーエスケープルールのグラップリングマッチ。30分間は何度極められても再びスタンド状態から試合を再開。より多くギブアップを奪った方が勝利となる。KURO-OBIが優勢に試合を進めていたが、SUSHIもKURO-OBIが道着の乱れを直しているところに襲いかかるなど、懸命に組み付いていき、30分闘い抜いた結果、互いに6回ギブアップを奪っていたため引き分けに終わった。
その後、オープニングVが流れたあと、大会プロデューサーの佐藤光留が登場。「常識的に考えてとっても忙しいはずの中、新宿FACEでハードヒットなんぞをご覧いただくために沢山のご来場まことにありがとうございます。ようやくコロナが落ち着きはじめまして、興行も増え始めたのですが、逆にそれが弊害となり、大晦日なかなかの興行と被りまして。その中でハードヒットを選んで観に来てくれたことを本当に、来ていただいた方には感謝して、後楽園に行った人は一生恨もうと思います。とは言うものの、本日沢山のスポンサードをしていただいて、興行にこぎ着けました。お名前を呼び上げさせてもらいます。Macro Theos様、新太平洋運輸株式会社様、イシカワマキ様、株式会社りくつな様、三室亜生様、デッドリフ太郎様、当たり前田のニールキック様、RYSKパートナーズ様、そして最後に元坂口様からスポンサードいただきましたが、TAKAYAMANIAに今日募金していただいた方にプレゼントということで、変態自衛隊のトートバックを作りました。ぜひご協力いただけたらと思います。ということで本題なのですが、今回の大会名をFight After Fightとしまして。気付けば、今年も本来ならば200試合近く予定が入っていまして。先々の試合を考える前に、まず今日の試合を息抜き、また試合が終わったら試合。そういう生活を送ってきていたので、大晦日まで興行やって試合やるんだったら、もうみんな試合のあとは試合だって気持ちでこの大会名をつけました。ところが、12月11日に天龍プロジェクトの試合でなかなかのケガをしまして。ヘタしたら半身不随だってレベルのアレだったんですけど、持ち前の悪運の強さと回復力の高さで今日戻ってまいりました。20日間欠場しただけで、欠場と呼ばれるんだったら川村なんて1年中欠場しているみたいなもんです! 全然試合してませんから。ただ格闘技でケガして、さすがにちょっと落ち込んだんですけど、闘いのあとに闘いがないことを考えた瞬間に一体何が残るんだろうと、真剣に思いまして。……実際は(残るものが)あると思います。試合もすればいいし。いつかは闘うことも出来なくなるんだったら、そのあとの人生一体何なんだって、そのときは思うかもしれませんが、今現時点でこのプロレスのリングに立っている自分にとって、闘いのない、プロレスの試合のない、悩むこともない、何の不安もない人生というものは、もうそれは生きながら死んでいるのとあんま変わんねえなと思いまして。欠場中もまあまあ不安をそのままにして。治療もメチャクチャ痛くて…本当に治っているのかなと思うくらい痛かったんですけど、何とか治してきました。本来ならば自分の復帰戦をメインにして、何となく形を整えるところなんですが、少しそういうところで変化球を投げたくなるので。今日は11月のハードヒットでの(第1回Break Through)トーナメントで優勝した椎葉おうじにすべてを託して、自分はセミに試合を組みました。(椎葉の)対戦相手である鈴木みのる選手からは、ここでは言えない不満を沢山言われたのですが、それでもすべて闘いで何とかしてくれるのがプロレスのいいところだと思います。椎葉おうじにはプレッシャーかもしれませんが、プレッシャーのないプロレス人生なんてないも同じなので。もうかかるだけのプレッシャーを背負って、今日のメインで、2022年のハードヒットを締めてもらいたいと思います! そのほかの選手の試合順に関係なく、今日も『大晦日なんで』っていうひと言を最後に付け加えて、めっちゃめちゃネジ巻いてきました。どうなるか分かりませんが、ぜひ皆さんの目で見て、判断していただければと思います。どうもありがとうございました!」と挨拶。
第1試合は前口太尊(飯伏プロレス研究所)vs渡辺壮馬(GLEAT)。太尊がローや前蹴りを出しながらプレッシャーをかけていくが、壮馬も引くことなくローや前蹴りで応戦してみせる。太尊にミドルをブロックした壮馬が掌底を出していくと、太尊も掌底で応戦。壮馬もジワジワとプレッシャーをかけていき、太尊がロープを背負ったところにソバット。これは当たらなかったが、太尊がローをヒットさせたところにフック気味の掌底を合わせる。太尊がボディへのパンチから、やや強引に右ハイキックを叩き込む。それでも壮馬は引かないので、太尊も踏み込んで掌底からのロー。壮馬のローをキャッチして、ストレート掌底を入れた太尊。壮馬は太尊の突進をかわし、リングを回りながら掌底を返す。首相撲からヒザを入れていく太尊だが、組み付いた壮馬はそのまま押し倒すとボディにパンチ。うまく立ち上がった太尊はミドルを飛ばしていくと、壮馬のハイキックをかわして、オーバーハンドの掌底を叩き込む。大振りの掌底を振り回していく太尊だが、クリンチで逃れた壮馬は首相撲からのヒザを防御してロー。太尊も掌底を合わせていき、その後も緊張感のある間合いに。そこから右の掌底で飛び込んだ太尊は、一気に掌底でラッシュ。ガードを固める壮馬はクリンチ。残り1分となり、離れた壮馬は掌底。太尊も打ち合っていくが、壮馬もソバットを狙う。しかし、お互いに決め手を欠いたまま時間切れ。残りポイントも3-3のままで引き分けに終わると、壮馬から握手を求めていき、太尊もこれに応じた。
第2試合は松本崇寿(Physical Design Works)vs服部健太(フリー)。片足タックルを狙った松本だが、服部が潰してバックを取る。だが、下に潜り込んだ松本は足を使って服部を倒す。すぐに立ち上がった服部はテイクダウンから、松本をガブっていく。松本がクロスガードの体勢になると、服部を足関節を取ろうとする。これを逃れた松本はテイクダウンに失敗してカメになる。バックを取った服部はそこからジャーマンで投げ捨てるが、松本は下からのアームロックを決めていく。何とか逃れた服部は再びバックを取ると、そこからローリングクレイドルのような形で回転してからレッグスプリットに。だが、松本は道着の帯を服部の首に巻き付けると、そのまま絞めあげる。自分がレッグスプリットをかけているため、身動きを取れない服部はギブアップ。
第3試合は橋本和樹(大日本プロレス)vs岡田剛史(TKエスペランサ)。体型が似ている両者だけに、共に重たいローを蹴っていく。岡田がコンビネーションで蹴りと掌底を入れていくが、組み付いた和樹は背負い投げでグラウンドに持ち込むと袈裟固め。うまく頭を抜いた岡田は腕十字を狙うが、和樹がクラッチするとマウントにスイッチ。しかし和樹が足を取ってヒザ十字で切り返す。岡田もアキレス腱固めで応戦するが、和樹は張り手。ここで一旦離れてスタンドに戻ると、和樹のタックルを切った岡田が掌底から三角絞めを狙う。和樹が防御すると、岡田は立ち上がってボディにヒザを入れる。岡田が左右の掌底からローを入れると、和樹がガクッとヒザをつく。すかさず絡みついてスリーパーを狙った岡田だが、和樹はスイープして上になると、そこから逆エビ固めを狙う。だが、岡田がうまく防御してアンクルホールド。さらに腕にスイッチしてアームロックを決めると、和樹はロープエスケープ。ヒザで飛び込んだ岡田だが、逆にニーリフトの連打を返していった和樹は、岡田がくの字になったところに卍固めを決めてギブアップを奪った。試合後は互いに座礼をして健闘を称え合った。
第4試合は越谷系格闘探偵ルールによる阿部諦道(浄土宗西山深草派)&田村男児(全日本プロレス)vs十文字アキラ(JUST TAP OUT)&小林ゆたか(夕月堂本舗)。越谷系格闘探偵ルールとはフリーダウン制、場外戦禁止、3カウントフォール無し、KO、ギブアップ、TKOで決着がつくルール。阿部と小林の先発で試合開始。脇の差し合いからグラウンドに持ち込んだ小林だが、立ち上がった阿部はまだ寝ている小林を蹴って行く。さらに控えの十文字にも張り手を飛ばし「気を抜くな」。タッチを受けた男児は片足タックルから小林をテイクダウンするが、小林もうまく立ち上がってから逆に片足タックルを狙う。しかし、うまく潰した男児はレスリングの投げ。ここで小林は十文字にタッチ。レスリングのテクニックを使ってテイクダウンした男児はV1アームロック。十文字は溜まらずエスケープ。ならばとタッチを受けた阿部がサッカーボールキック。ダウンを取られた十文字はどうにか立ち上がって張り手を見舞って行くが、阿部も打ち返していってダウンを奪う。さらに十文字の蹴り足をキャッチしてアンクルホールドに捉えると、十文字はロープエスケープ。男児はエルボーからカバーするが、3カウントフォールはない。十文字はエルボーで向かっていくが、男児は余裕で阿部にタッチ。張り手から腕十字、キーロックと決めていった阿部は、下から張ろうとする十文字にヘッドバット。それでもエルボーで向かっていく十文字だが、阿部はエルボーから張り手、ソバット。十文字も何とかドロップキックを返してタッチ。小林はミドルで飛び込むと、至近距離からの掌底でダウンを奪う。立ち上がった阿部は小林のミドルをブロックすると、グラウンドに持ち込む。逆に小林がアキレス腱固めを決めるが、男児が入ってきてカット。それでも小林はグラウンドで腕十字を狙うが、うまく防御した阿部は小林の背中を蹴り飛ばしてから伊良部パンチ。キャッチして飛び付き腕十字を決めた小林だが、ここでカットに入った男児。しかし小林は阿部を三角絞めで捉えたまま、男児にアンクルホールド。さらに阿部にスタンディングのネックロックを狙うが、阿部はヘッドバット。そこから今度こそ伊良部パンチを叩き込んでダウンさせると、男児にタッチ。串刺しラリアットでダウンを奪った男児は、一気にデスバレーボムを狙う。バックに逃れた小林はビクトル投げからヒザ十字。男児はロープエスケープ。タッチを受けた十文字は串刺しフロントキックからゼロ戦キック、PKでダウンを奪う。男児もエルボーで反撃すると、阿部が背後から蹴っていく。怒った十文字は阿部にエルボー。さらに飛び付き三角絞め。その間に男児は小林に逆エビ固めを決めるが、試合の権利は男児と十文字。改めてこの二人でエルボーを打ち合うと、そこから十文字が左右の張り手からドロップキック。倒れない男児はラリアットを狙うが、フロントキックで防御した十文字はハイキック。ダウンした男児だが、どうにか立ち上がる。十文字のフロントキックをショートレンジラリアットではたき落とした男児は、ショートレンジラリアットからデスバレー。ダウンした十文字はどうにか立ち上がったが、両足を刈った男児はそこから一気にダンロックに捉えてギブアップを奪った。悔しそうな小林に見せつけるように両腕を二人で掲げて勝利をアピールした阿部と男児。阿部諦道はこの試合を持って、約5年間定期的に参戦していたハードヒットを卒業。
第5試合は和田拓也(フリー)vs門馬秀貴(Brighness)。一気に距離を詰めた和田は門馬をコーナーに追い込むが、門馬がガードを固めたため一旦離れる。掌底から飛び込んでいって片足タックルを狙った和田。クロスガードの体勢になった和田だが、起き上がった門馬は掌底で飛び込む。かわした和田はサイドを取るとヒジを落とそうとする。レフェリーが注意している隙を突いて門馬は三角絞め。しかし少し持ち上げた和田はどうにか脱出。掌底で飛び込んでローまで蹴っていった和田は、テイクダウンを奪う。ボディにパンチを打ち降ろしていった和田だが、門馬は下からの三角絞めを狙う。そこから素早くストラングルホールドγにスイッチすると、和田は慌ててロープエスケープ。組み付いた和田はビクトル投げからヒザ十字を狙うが、門馬は回転しながら脱出。逃すまいとなおも組み付いていった和田。だが、門馬も寝た状態から動き回って決めさせない。諦めて立ち上がった和田は、門馬の蹴り足をキャッチして蹴り。さらに掌底で飛び込んでいくと、内股のような体勢でグラウンドに持ち込む。しかし門馬はスイープして上になると一気に腕十字。後転した和田は逆に腕十字。一気に腕が伸びてしまった門馬は辛くもロープエスケープ。両足タックルを狙った門馬だが、潰した和田はヒールホールド狙い。門馬が防御すると、和田は胴絞めスリーパーにスイッチ。これも回転しながら逃れた門馬はスピニングチョーク。和田も脱出してアンクルホールドを狙うが、門馬もアンクルホールドで切り返す。これを和田が回転しながら逃れたところで時間切れのゴング。残りポイントも両者2-2だったため引き分けに終わった。両者は握手をしたあと、お互いの腕をあげて健闘を称え合った。
セミファイナルは佐藤光留(パンクラスMISSION)&川村亮(パンクラスイズム横浜)vs望月マサアキ(DRAGON GATE)&望月ジュニア(DRAGON GATE)。20日ぶりの復帰戦となる光留は、レガースのないロングタイツのため蹴りを封印。川村とマサアキの先発で試合開始。常に控えの光留が声を出す中、片足タックルを狙ったマサアキに下から突き上げるような掌底を打った川村。グラウンドでのレスリングはほぼ互角の展開。川村が自軍のコーナーにマサアキを押し込んでいって光留にタッチすると、マサアキは「アイツ腰悪いから」と言ってからジュニアにタッチ。“Uを知らない世代”のジュニアに対し、いきなりタックルから上になった光留は腕十字。腕が伸びてしまったジュニアは、どうにか前転してロープにエスケープ。続いて川村が鯖折りでテイクダウンすると、マウントからボディにパンチを落とす。股下をくぐり抜けたジュニアだが、川村は上から潰して変形のアンクルホールド。そのままヘッドシザースでジュニアを動けなくするが、ジュニアはロープにエスケープ。光留が一気にフロントネックロックからブレーンバスターで投げようとするが、離れたジュニアはハイキックから飛びヒザを叩き込んでいってマサアキにタッチ。スーパーケンカキックでダウンを奪ったマサアキは、そこから光留をコーナーに押し込んでいってボディブローの連打で続けてダウンを奪う。ピンチの光留はタッチ。掌底を叩き込んだ川村だが、コーナーに押し込んでいったマサアキは川村の頭を叩く。そこから両者張り手の打ち合いになるが、川村がボディブローを叩き込んでダウンを奪う。残り2ポイントとなった望月親子だが、川村をロープに押し込んでいったマサアキは、李日韓レフェリーに控えの光留を注意するように促し、見てない隙にヘッドバット。さらにジュニアが入ってきて親子でダブルソバットを叩き込む。これで川村がダウン。倒れている川村を見てダウンカウントを数えるレフェリーだが、これで残りポイントが2-2で並ぶ。タッチを受けた光留はヘッドバットを返そうとするが、当然レフェリーが止める。光留がレフェリーを突き飛ばしたところで、望月が掌底を叩き込んで光留がダウン。これで残りポイントは1-2。後がないパンクラス組だが、ジュニアがヒザ蹴りの連打で一気にラッシュ。しかし冷静にテイクダウンした光留は腕決め袈裟固めで捕獲。必死で脱出したジュニアはボディブローとヒザを連打するが、キャッチした光留はボディスラムからアキレス腱固め。リング中央でガッチリ極まったが、ジュニアは1分以上耐え、光留が逆片エビ固めにスイッチしたところでなんとかロープエスケープ。残り10秒でマサアキに代わり、打撃でラッシュをかけたが、ここで時間切れのゴング。残りポイント1−1で引き分けに終わった。パンクラス組は望月のヘッドバットを抗議するが、マサアキは「やっていない」と主張。両チーム握手を交わした。
メインイベントは鈴木みのる(パンクラスMISSION)vs.椎葉おうじ(フリー)。第1回Break Through Tournament優勝者として鈴木に挑む椎葉だが、鈴木はリングインすると同時に相手コーナーまで近づいていって、椎葉に詰め寄っていく。椎葉も睨み返すが、鈴木は不適な笑み。ゴングと同時に飛びヒザで飛び込んでいった椎葉だが、鈴木がかわすと椎葉はローから掌底。しかしリング中央を陣取った鈴木は、椎葉が飛び込んできても至って冷静。蹴りにも掌底にも微動だにせず、蹴り足をキャッチしてリング中央に引きずり込むと、一気にアキレス腱固め。うめき声をあげた椎葉はタップアウト。まさかの秒殺決着に「えー!」という声があがるが、鈴木はそんな客席を見渡すと倒れている椎葉を一瞥し、足早にリングを降りて退場。両手で顔を覆い、悔しさを滲ませた椎葉はしばらく動けず。『風になれ』が鳴り響く中、右足を引きずりながら立ち上がった椎葉は手で顔を覆いながら頭を下げるのが精一杯。悔しそうにリングを降りるしかなかった。
ーーでは大会総括を。
光留 総括……総括? ……佐藤光留でも総括を出すのが難しい佐藤光留興行でしたね。
ーー去年はプロレスの興行で年越し。今年はハードヒットでしたが、ちょっと特殊なルール(越谷系格闘探偵ルール)もありましたし。
光留 そうですね、アレに関しては阿部が……僕は詳しくは聞いてないですけど、中身の人がフリーになるって言って。で、ホニャラーツルールとかバチホニャルールとかやると、何かちょっと……現在進行形じゃないなっていうのがあったんで。けど、じゃあなんで急にアレをやることになったかと言うと、やっぱり系譜だからなんですよね。そのことを考えたら越谷系格闘探偵ルールだなっていう。まあパチモンみたいなアレですけど、結局新しい歴史って全部パチモンの歴史なんで。言い切ってしまいました。佐藤光留がどんだけ現在進行形のUだって言っても、金持ってて田村潔司に金払ってるほうが「これがUWFで〜す」って言っちゃうんだから、世間的には。だからニセモノでも関係ないです。でもやってきたらどれだけのものが続いたかって、歴史が証明しますから。そういう意味でああいうルールがありましたけど。その中で小林ゆたかとか十文字アキラがよかったですね。男児ちゃんもよかったし、一番なんか…久しぶりに阿部諦道が窮屈そうでしたね。アレが面白かったです、僕は。
ーー機会があればああいうルールは今後もやってみたい?
光留 いや、うちじゃやらないかな! 変な話、やりたいやつがいたら勝手にやればいいと思います。今回は阿部のタイミングが合ったので。言うたら阿部諦道消滅試合ですから。引退じゃなくて消滅試合ですからね。だから……絶対やらないとは限らないですけど、継続してやることはたぶんないです。やりたい人がやればいいと思います。
ーーハードヒットルールで最近急成長といえば、第1試合の太尊選手と壮馬選手。どちらも結果を出したいところでしたが、決着はつかなかったですね。
光留 そうですね。よかったんですけど、いい時っていいばかりじゃないんですよ。何か上り調子・赤丸急上昇だなって聞いて、そのあと伸びる奴って絶対うまくいかないんですよ。すぐに。でもそれがあるから上に行くんですよ。いいものはいいんですよ! いいものっていいんですけど、人っていいものにも悪いものにも慣れて飽きるんですよ。だから常に現実の中にいないといけないと思います。だからそういう意味じゃ、渡辺壮馬はずっと現実の中で生き続けているんですよね。向こうの伊藤(貴則)っていうのはツッ込まれてましたよね、青木真也に。
ーー来年も壮馬選手にはハードヒットにオファーするかもしてない?
光留 オファーはするし、アイツあまりしゃべらないですけど、もっとやりたい人がいるんじゃないですか? あと渡辺壮馬と闘いたいって人も何人かいるんで、こっちに。見たいですね。ダメだったら切るし(苦笑)。
ーーご自身はケガで20日間欠場していましたが。
光留 20日欠場ですよ? 普通っすよ!(苦笑)あいだに何個も試合あったんで。
ーー復帰戦で望月親子と。
光留 いやあ、よくないおじさん! 望月のオジキ、よくないよ(苦笑)。ホントに。
ーー途中、レフェリーが見ていなかったので反則かどうかは微妙な……。
光留 李日韓はクビです! 日韓はクビです! これは日韓だけじゃなくて……日韓だけじゃないって言うか(苦笑)、来年はちょっとメンバーがごっそり変わると思います。マンネリっていうものじゃないですけど…うーん……引き上げるキッカケにハードヒットを使ってもらって大丈夫っていうのはあります。けど、上がらなかったら切られるっていうのもあるので。今日なんかは結構レギュラー選手ばっかりだったと思いますけど、来年は本当にごっそり変わる。ヘタしたら僕以外全員変わるかもしれないし。今のところ確定なのは、レフェリーの梅木さんだけです。梅木さんのレフェリーがないと、ハードヒットは出来ないので。ために(梅木レフェリー不在の状態で)やってますけど(苦笑)。確定なのは僕と……川村も分からないし。
ーーそういう意味ではBreak Through Tournamentで優勝した椎葉おうじ選手も、今日は1分ちょっとで敗れました。
光留 うーん……だからね、難しいんですよ。オリンピックのマラソン見ても1位、2位の争いをみんな見るじゃないですか。でも出るだけで本当に人の人生が狂うような体験をみんなしていて、必死で世界1を決める大会に足を踏み入れて、1回もテレビに映らないで帰る奴もいるんですよ。けど、そいつが次のオリンピックで優勝するんですよ! うーん。で、もちろん勝ち続けた人はずっと人から見られているかもしれないけど、見られていないところでも闘っているんですよ。ハードヒットなんて身内しかいねえんだから! どこにも取材されないんだから。でもその中で生きてきて、掴み獲ったチャンスが……まあ今回は5文字で言うと、“いいとこなし”だったと思います……6文字だ。だけど、今日椎葉おうじ死ぬわけじゃないんで。でも死ぬかもしれないんで! 現実ですよね。まあ佐藤光留の興行らしいっちゃらしいんでいいんですけどね。最後総力をつぎ込んで負けたけど、かっこいいマイクで締めるっていうのがたぶん大晦日のアレなんでしょうけど。そんなのマスコミが沢山いる会場でやればいいんじゃないですか(苦笑)。知るか! 知るか、ボケ!
ーー先ほどちょっと言ってましたけど、来年はメンバーの入れ替えがありつつ、何かハードヒットでやろうと考えていることとかもありますか。
光留 あるにはあります! あともう1個、UWF関連の話が来るので。個人的にも43ですから、来年ね。厄年終わりますから。ケガしてる場合じゃないんで。Fight After Fightですよ。興行・アフター・興行だよ。