Read Article

ニコプロpresentsハードヒットEXTRA「俺たちの50/50」

ニコプロpresentsハードヒットEXTRA「俺たちの50/50」

ニコプロpresentsハードヒットEXTRA「俺たちの50/50」
日時:2022年7月25日(月)
開場:17時30分
開始:18時30分
会場:新宿FACE
観衆:PPVが切れた人(主催者発表)

第1試合 「俺たちの第1試合」 3ロストポイント制 10分1本勝負 
小林ゆたか(夕月堂本舗)
3分43秒 チョークスリーパー
椎葉おうじ(フリー)
第2試合 「俺たちのアマチュアレスリング部」 3ロストポイント制 10分1本勝負
田村男児(全日本プロレス)
10分00秒 時間切れ(残りポイント2-1)
服部健太(フリー)
第3試合 「俺たちのパンチドランカー予備軍」 3ロストポイント制 10分1本勝負
前口太尊(飯伏プロレス研究所)
1分54秒 TKO(掌底→レフェリーストップ)
タノムサク鳥羽(フリー)
第4試合 「俺たちの無差別級戦」 3ロストポイント制 10分1本勝負
石川修司(全日本プロレス)
6分41秒 TKO(ニーリフト→レフェリーストップ)
ミノリータ(DRAGON GATE)
ダークマッチ 5分1本勝負(延長3分)
田馬場貴裕(IMPACT)
延長 時間切れ引き分け
仁木琢郎(2AW)
第5試合 「俺たちのキックボクシング」 エキシビジョンマッチ キックボクシングルール3分2R
WINDY智美(フリー)
エキシビジョンマッチのため勝敗なし
渡慶次幸平(クロスポイント吉祥寺)
セミファイナル 「俺たちの2000年代総合格闘技」 グラップリングタッグマッチ 5ロストポイント制 15分1本勝負
佐藤光留(パンクラスMISSION)
ロッキー川村2(パンクラスイズム横浜)
15分00秒 時間切れ引き分け(残りポイント3-3)
和田拓也(フリー)
門馬秀貴(Brightness MONMA DOJO)
メインイベント 「俺たちの50/50」 5ロストポイント制 15分1本勝負
伊藤崇文(パンクラスism)
15分00秒 時間切れ引き分け(残りポイント4-4)
KEI山宮(GRABAKA)

オープニングVのあとに、主催者である佐藤光留が登場。「僕が去年、大晦日に新宿FACEで興行をやると言ってからコロナの陽性者が増えまして。もちろん今回もこの大会を発表してから、1日1万人単位でコロナの患者が増えるという事態に陥りましたが、それでも今日用意したまあまあ埋まるぐらいのお客さんが来てくれるということで、非常に感謝しております。これは他のプロレス団体も少し様子を見ながらということだったのですが、会場側とも話しまして、本日マスクを着用の上で声援を、声を出していいとなりました。まあ、とはいえ、ハードヒットでぎゃあぎゃあ声を出して見る興行じゃないので、そんなに意味はないんですけど。少しずつコロナ前の興行に戻っていくという意味も込めまして、今日もし好きな選手、頑張ってほしい選手がいたら、声を出して応援していただけたらと思います。ただマスク着用と手洗いとか消毒を徹底していただければと思いますので、重ね重ねよろしくお願いします。今大会は数年前から山宮さんと伊藤さんに『50歳になったら記念試合をやりましょう』と言っていたことが発端です。もう20年以上前になりますが、和術慧舟會という格闘技のチームというか団体があったのですが、そこの総本部、九州・長崎で西良典先生がやっていた大会で、ご病気で確か片足を切断しても、まだ格闘技を続けている串間さんという方がいまして。その方が40歳になったら、慧舟會では必ず禊ぎの試合をしなければいけないんだと、リングに上がっている試合をしていたのを見て、すごく何か感じるものがあったのが、確か2001年だったと思います。いま自分がこうしてリング上で闘いを提供出来る立場になったときに、果たして伊藤さんと山宮さんが50歳になったとき、何もしなくていいのかなと思ったときに、パッと『やりましょう!』と言ったのが数年前でした。伊藤さんは基本的に何でも『ええで』って言う人なので、『ええで』って言ってくれて。山宮さんは基本的に何を言っても『ウィッス』しか言わないので。たぶん半ば本気じゃないと思われたと思うんですけど、こうして今日、ハードヒットEXTRAとしてお二人の50歳の記念の試合を組めたこと、そして皆さんに観に来てもらえたことを本当に感謝します。ありがとうございます。ただ、ちゃんと問題もありまして。第5試合のキックボクシングのエキシビジョン、渡慶次幸平vsWINDY智美ですが、本日ルールの擦り合わせをしたところ、完全にBreakingDownのオーディション会場みたいになってまして……。グローブはつけるのですが、『レガースはいらないんじゃないですか? そもそもエキシビジョンって何なんですか?』と(聞かれる)状況になっております。いま一生懸命なだめております。いろんなハプニングはあると思うのですが、リングで起こったことが我々のすべてです! 我々のプロレスのすべては、このリングで起こっていることです。それ以上もそれ以下もない、それがプロレスラー・格闘家だと覚悟を決めて、今日も生きていますので。その先輩・後輩、いろんな団体、いろんな選手、バックボーンの方がいますが、ぜひ……一瞬で試合が終わるかもしれません。つまらない奴はたらたらやるんですけど、それもしょうがない! 格闘技・プロレスですので。全身で感じていっていただければと思います!」と挨拶。

第1試合は小林ゆたか(夕月堂本舗)vs椎葉おうじ(フリー)。初参戦となった4月の大会で主催者が「MVP」と評した椎葉。小林がリングのど真ん中で構えるため、椎葉はリングを回りながら積極的に蹴って行く。ローと掌底で前に出た椎葉は、首相撲からニーリフトを出して行くが、うまく離れた小林。そこにハイキックを出した椎葉だが、小林はガード。またも首相撲からヒザを入れて行く椎葉だが、小林は離れる。そこにハイキックで襲いかかる椎葉だが、ガードした小林に対し、椎葉はやや強引に首相撲で捕まえようとするが身長差もあるため小林はうまく離れる。掌底とヒザでラッシュをかける椎葉だが、小林は下がりながらもブロック。しかしハイキックをガードした小林に、左右の掌底でラッシュをかけた椎葉はダウンを奪う。立ち上がった小林は椎葉がローを打ってきたところにタックルを合わせてテークダウン。そのままバックマウントを取ると、一気にチョークスリーパーに捉えてギブアップを奪った。

第2試合は田村男児(全日本プロレス)vs服部健太(フリー)。久しぶりのハードヒット参戦となった服部はレガース&ニーパットを着用。お互いにレスリング部出身ということで、まるでレスリングの試合のような立ち上がり。お互いに低い姿勢からタックルを狙うが、テークダウンは許さない。何とかバックを取った男児はスリーパーを狙うが、服部は極めさせない。フェイントを入れながら互いにタックルを狙う中、男児が片足タックルからテークダウン。そこからパワーとタイミングで逆エビ固めに捉えると、服部は必死にエスケープ。服部もどうにか片足タックルでテークダウンを奪うが、男児はガードポジション。そこから服部が素早くアキレス腱固めに入ると、男児は必死にエスケープ。思わず咆哮した服部だが、回転体からバックに回った男児はダンロックへ。服部は何とかエスケープ。これで服部は残り1ポイントに。残り3分となり、男児のパワーにかなりスタミナを削られた様子の服部だが、それでも男児にテークダウンを許さない。どうにか片足を抱えて倒した男児だが、服部もしたからフロントネックロック。強引に振りほどいた男児は、片足タックルでテークダウンを奪う。サイドポジションから腕十字を狙った男児だが、服部は脱出してすぐにタックル。しかしガブった男児はフロントネックロックを狙う。そこから肩固めにスイッチした男児だが、そのまま時間切れに。残りポイント2-1で男児が勝利。

第3試合は前口太尊(飯伏プロレス研究所)vsタノムサク鳥羽(フリー)。ハードヒットはバックボーンであるキックボクシングの技術がより活かせるとあって、いきなり重たいローを出していく太尊。さすがに後退した鳥羽だが、太尊がローで前に出たところに、狙い澄ました右のストレート掌底を合わせてダウンを奪う。思わず場内がどよめいたが、鳥羽は立ち上がった太尊に掌底でラッシュ。太尊も応戦するが、右フックの掌底をかわした鳥羽が、逆に右の掌底をフック気味に出す。しかし鳥羽のがヒットする前に、太尊の左フック気味の掌底がカウンターで鳥羽の顔面にヒット。ダウンした鳥羽はカウント6でどうにか立ち上がるが、太尊はロー2連発。鳥羽はカウンターで掌底を合わせようとしたが、太尊はかわしながらオーバーハンド気味に右の掌底。これがまたもカウンターで鳥羽の顔面にヒットしてダウン。大の字に倒れた鳥羽を見て、レフェリーが試合をストップ。これぞキックボクサー同士のハードヒットとも言える、壮絶な打撃戦だった。

第4試合は石川修司(全日本プロレス)vsミノリータ(DRAGON GATE)。初参戦のミノリータは身長156cm体重67kg。対する石川は身長195cm体重130kg。ミノリータは「デカ過ぎるだろ、コイツ!」と言うと、石川に隣に並ぶように要求。いざ並んでみると身長差も体格差も一目瞭然。コーナーに登って挑発するミノリータは、石川が乗ってこないとリング上を走り回ってなおも挑発。コーナーに追い込んだ石川だが、股下をくぐって脱出したミノリータは場外に逃走。しかしレフェリーがハードヒットルールでは場外乱闘が認められないため、両者にイエローカード。慌てて謝る両者。石川は「(ハードヒットルールでの試合)初めてだから」と嘘までつく始末。ドロップキックでも倒れない石川は、コーナーに押し込んでヘッドバット。しかし反則のため石川はイエローカード2枚でロストポイント1。ミノリータは足をすくって倒すと掌底。しかしガブった石川は持ち上げようとする。うまく背後に回ったミノリータだが、そのままヒョイと立ち上がった石川。強引に懐に飛び込んだミノリータだが、石川は押しつぶしてネッククランチ。そこからガブった石川だが、どうにか立ち上がったミノリータはうまく背負い投げで石川の巨体を投げることに成功。そこから一気にスリーパーを仕掛けていくが、そのまま立ち上がった石川は背後のコーナーに何度もぶつけていく。しかしミノリータが離さないと、石川はエスケープしたため残り1ポイントに。後がない石川はニーリフトを連打。それでも果敢に飛び付き腕十字を狙ったミノリータだが、石川は強引に振りほどくとニーリフトでカチ上げる。ダウンかと思われたが、石川がカウントを数える前になおもブレーンクローで追撃。どうにかエスケープしたミノリータだが、ダメージは大きい。それでも石川のニーリフトをキャッチして、掌底を顔面に叩き込む。だが、倒れず逆にニーリフトでミノリータを吹っ飛ばした石川は、コーナーに追い詰めてニーリフトを連打。ガードも出来ない状況のミノリータを見て、レフェリーが試合をストップした。

休憩時間にはダークマッチの田馬場貴裕(IMPACT)vs仁木琢郎(2AW)が行われた。ハードヒット初参戦の仁木が必死に田馬場に食らいついていったが、田馬場も仕留めることは出来ず延長の末に時間切れ引き分け。

第5試合はキックボクシングルール3分2RによるWINDY智美(フリー)vs渡慶次幸平(クロスポイント吉祥寺)のエキシビジョンマッチ。オープニングで主催者が心配していたが、両者ともグローブ&レガースを着用して登場。開始早々、互いにローを出していくと、その衝撃音に場内がどよめく。WINDYは積極的に蹴って行くが、渡慶次はワンツースリーからのロー。エキシとは思えぬ“ぶっ倒してやる”という殺気で、観客が完全にシーンとなる中、渡慶次のハイキックをガードしたWINDYは重たいローを返していく。
李日韓レフェリーがラウンドガールを務めることで若干緊張感が緩和されたが、2Rが始まると、WINDYがコンビネーションでドンドン前へと出て行く。ガードを固めてしのいだ渡慶次はリバーブロー。さらに足払いのようなローでWINDYを転ばせる。なおも左右のパンチで前へと出て行くWINDY。後退しながらも表情にはまだ余裕を感じる渡慶次は左のインロー。明らかに効いている様子のWINDYだが、同じところを渡慶次が蹴っても自ら腿を叩いて「効いていない」アピール。WINDYのコンビネーションをガードしながら、同じところをローで蹴って行く渡慶次。それでもWINDYは退くことなく、パンチとローで前に出る。渡慶次もフックを打って行き、ガードしながらもその衝撃で体が揺れるWINDY。それでも最後まで前に出続けて試合終了のゴング。エキシなので勝敗はないが、最後まで殺気が漂いまくった一戦だった。

セミファイナルは佐藤光留(パンクラスMISSION)&ロッキー川村2(パンクラスイズム横浜)vs和田拓也(フリー)&門馬秀貴(Brightness MONMA DOJO)のグラップリングタッグマッチ。光留→和田→川村→門馬の順に入場すると、ガウンのフードを取った川村の頭にヅラが……。グローブはすんなり外したのに、ヅラはなかなか外さない川村だが、“モンコン”のようにしてようやく外した。光留と門馬の先発で試合開始。いきなり股下に潜った門馬は足関節を狙うが、光留は回避。ならばと飛び付いて引き込んだ門馬は三角絞め。そこから腕十字にスイッチすると、光留はエスケープ。光留の片足タックルからテークダウンするが、逆に門馬は下からヒザ十字。光留はその体勢のまま川村にタッチ。和田が「そいつ寝技出来ないよ」と言われた川村を、タックルから抱え上げてテークダウンした門馬は、そこから自軍のコーナーに引っ張っていって和田にタッチ。腕を取ってグラウンドに持ち込んだ和田だが、川村は必死に立ち上がって脱出。コーナーに押し込んだ和田は、フランケンシュタイナーのような形で回転すると、そのまま腕十字の体勢に。必死でクラッチする川村だが、和田はニーロックにスイッチ。川村はどうにか手を伸ばして光留にタッチ。片足タックルからアキレス腱固めを仕掛けていった光留だが、和田は腕十字で切り返そうとする。しかし光留は逆にそこからアキレス腱固め。和田はクロスヒールホールドで切り返すが、光留は「全然痛くありませんよ」と強がってからヒールホールド。これには和田も堪らずエスケープ。タッチを受けた門馬をガブった光留は、足を絡めるとそこからグラウンド卍に捉える。「全然痛くないっすよ!」とうそぶいた門馬だが、エスケープして肩を押さえる。だが、川村に代わると飛び付いてフロントネックロック。そのままロープに押し込んだ川村だが、門馬は構わず絞めていく。「ギブアップしたらぶっ殺すぞ!」という光留の激を受けて、何とか立った状態のまま頭を抜いた川村だが、門馬はなおも三角絞め。強引に振りほどいた川村は、立ち上がる前の門馬に襲いかかる。しかしあっさりスイープした門馬は肩固め。もがき苦しみながらも後転して脱出した川村だが、光留はタッチせずに「行け」と指示。そこに和田がテークダウンしてオモプラッタから羽根折り固めへ。「折れるよ」とアピールする和田だが、光留は「折れたっていいから!」と激。どうにか川村はエスケープして残り3ポイントに。なおも「このまま交代していいのか? やられたらやり返すんじゃないのか?」と光留に言われた川村は、何とか和田を自軍のコーナーに押し込んでからタッチ。残り3分となり、光留は肩口に和田を抱えてリング中央まで運んでからアキレス腱固め。和田もうまく背後に回ってスリーパーを仕掛けるが、光留はそこから強引にジャイアントスイングでブン回す。朦朧としながらも川村にタッチすると、川村は自ら寝転んで猪木−アリ状態で挑発。すると和田は側転パスガードから腕十字から三角絞め。そのまま門馬にタッチすると、門馬はリバースのインディアンデスロック。さらにリバースバイパーホールドのような体勢になったところで、堪らず光留がカットプレー。門馬は前から飛び付き、ストラングルホールドのような形に捉えてから腕十字へ。しかし残り10秒を川村が耐え抜いたため、両軍残りポイント3-3で引き分けに終わった。

試合後、マイクを持った光留が「久々に入場で慧舟會っぽいのを見て、もう懐かしいなって思ったら22年前でした! でも門馬さん、まだまだ闘えますよね? どうやらあの佐藤光留がこんなにいろんな大会を主催しているとは、2000年の総合格闘技界、誰も思っていませんでした! 本人も思っていませんでした。ですが、このハードヒット! そしてもう3回目となる川崎球場! そして長渕剛が好きなレスラーを集めたJEEEPという大会も主催しています。必ず何かに引っかかるはずだ! そのときはもちろん、俺たちの…まだまだ2020年代のプロレスをやってくれますよね? みんなの前で答えを聞かせてください」と言って、門馬にマイクを渡す。門馬は「川崎球場? 長渕剛? いいね! ワークブーツに履き替えて、赤いジャンパー引っかけて行ってやるよ」と、公開オファーを『JEEP』の歌詞を引用しながら受諾。光留が「これから門馬秀貴がプロレス界で大活躍するぜ! 逃しはしねぇぜ!」と言うと、マイクを要求した和田も「この人たち、2000年代は全員嫌いだった! 本当に! 光留さん、今日はグラップリングだけど、またいつかここ(和田)とここ(門馬)、バチバチのハードヒットを組んでください」とリクエスト。それを聞いた光留が「分かったよ。その答えは全部川村が知ってるぜ!」と言うと、最後は川村が「エイドリアーン!」と絶叫してから、4者ノーサイドで健闘を称え合った。

メインイベントは伊藤崇文(パンクラスism)vsKEI山宮(GRABAKA)の50歳記念試合。パンクラス黎明期のリングアナだった宮田充リングアナがコール。伊藤のタックルをガブって潰した山宮。お互いに牽制の掌底を出していくと、伊藤がタックルでテークダウン。しかし山宮はパスガードを許さず立ち上がる。タックルを潰した山宮はフロントネックロック。伊藤はしばらく耐えたあとにエスケープ。バックを取った伊藤は足に絡みつこうとするが失敗。片足をすくい上げてテークダウンを奪った山宮はガードポジションに。サイドに回った伊藤だが、山宮はそのまま立ち上がる。コーナーに押し込んだ伊藤だが、膠着したためブレイクがかかる。掌底で前に出た山宮だが、そのまま伊藤をコーナーに押し込んでいく。またも膠着ブレイク。山宮の掌底に合わせてタックルを仕掛けた伊藤はテークダウン。ガードポジションの山宮だが、伊藤はサイドにパスすると、クルックヘッドシザースを狙う。そこから腕十字にスイッチしたところで山宮はエスケープ。掌底の打ち合いから伊藤がタックル。残り5分となり、スイープして上になった山宮はアキレス腱固め。伊藤のアンクルホールドで応戦するが、お互いに極まらない。山宮が立ち上がりスタンド勝負に。掌底の打ち合いから伊藤のタックルを潰した山宮は、後転してフロントネックロックを狙う。これも極めさせなかった伊藤だが、ならばと山宮は胴絞めスリーパーを狙う。残り1分となり、伊藤はアキレス腱固めを狙うが、残り1分となりスタンドに。掌底の打ち合いから首相撲からヒザを狙うが、お互いに極めきれず時間切れに。残りポイントも4-4でドロー。

握手、座礼をして健闘を称え合った両者はリングを降りるが、そこに光留が入ってきて戻るようにお願い。そして出場選手も交えて記念撮影をしてから、マイクを要求した伊藤が「今年の6月21日で50歳になりました。まぁ毎年1年ずつ平等に増えていくものなんで、今更何って言われても正直何もないんですよ。でも『おめでとう』って言ってもらえることはいつまで経っても嬉しいんで、もう1回だけお願いします。(観客「おめでとう!」)あと僕、パンクラスのときから山宮に1回も勝ったことなくて、今日50歳になったら勝てると思ったけど、全然1回も勝てずのままなんで。60歳か70歳か知らんけど、もう1回やってみようかなって思うから……まあまあ、いい返事くれると思うで!」と言って山宮にマイクを渡す。すると山宮は「佐藤光留! まずはこのような機会は本当にありがとう! 感謝します! (伊藤に)50歳、おめでとうございます! 自分は先に32を過ぎたら、もう40も50も60も100でも一緒だと思っているので、数字は関係ないです! だからもう何回でもやりましょう!」と返答。それを聞いた光留から「もう1回でいいんですか?」と聞かれた伊藤が「えー、俺が勝ったらそれでいいよ」と言うと、山宮から「あんまり50のおっさんがしゃべっててもアレなんで、最後1・2・3ダーで締めて」とムチャぶり。最後はハードヒットとは思えない、伊藤の「いくぞー! 1・2・3、ダー!」で締めくくった。

【プロデューサーの大会総括】
ーーまずは大会の総括を。
光留 よかったですね! 僕が2000年にデビューして、伊藤さんと山宮さんは1990年代デビューで。あの頃ってリングに上がるのって、プロレスラーになるかボクシングやるかしかなかったんですよ。いまみたいに仕事しながら、ちょっとずつアマチュアで勝ってっていうんじゃなくて、もういきなり入門して…(いわゆる)プロレスラーよりも過酷な部分もあったと思うんで、パンクラスだったから。無差別級で。そういう世界もあった中で、50歳までやった二人をお祝いしたいなと。おめでとうじゃなくて、やっぱり試合で…と思ったんですけど、本人たち60、70までやるって言ってるんで、ちょっとやらざるを得ないなと思いましたね(苦笑)。
ーー山宮選手から「こういう機会をつくってくれてありがとう」という言葉のありましたが、ハードヒットを続けてきてこういう場がつくれたことは主催者冥利な部分もあるんじゃないですか。
光留 そうですね。元々ハードヒットって、ただUWFの興行が出来ればいいっていうんじゃなくて、いまって悪い言い方をすれば選手もフェードアウトしていってしまうんですよ。一緒にやってきた選手も、時代を築いた選手もフェードアウトしていってしまう。でもプロレス・格闘技っていうところの垣根が、みんなが思っている以上に我々の中ではないんですよね。「プロレスっていうのは格闘技なんだ」って言う人もいるから、そういうリングに残していけたっていうのは、ひとつの自分の……なんて言うんですかね。もうちょっとみんなから褒めてもらってもいいと思うんで。全然何も言われねえから! ただUWFスタイル……Uスタイルっていうのをただやるだけじゃないし、なぜそれをやるかっていう意義もあれば……本当にないのはお金だけですから。
ーー門馬選手にJEEEPとか川崎大会とか公開オファーして、本人も「行ってやる」と言ってましたが。
光留 まだ……門馬さん、電流爆破はやったことがあるんですよ。電流爆破って言ったら、周りの人も「ああ〜」って言うと思うんですけど、JEEEPって言われてもたぶん通じないと思うんですよね。より深い部分に誘おうと思ってたら、まさかの長渕剛の『JEEP』の曲を引用してくると思わなかったんで。お客、置き去りでしたからね。素質あるなって思いました!
ーー今日は普段のハードヒットと違うとはいえ、前口選手が鳥羽選手をKOしたり……。
光留 あの試合もよかったですね。
ーー石川選手もすごい……。
光留 ミノリータ選手もよかったですね! とってもよかったです。
ーーこれからのハードヒットでも活躍してくれそうな選手も出てきた感じしたらが。
光留 キッカケなんか本当にどこにでも転がってるし。正直、WINDYさんの試合とか、もっと見たいと思ったし。ミノリータ選手って小柄じゃないですか。今日は石川さんでしたけど、小柄な選手同士のハードヒットだったらどうだったんだろうとか思うところもあるので。そうするとうちにも椎葉おうじっていうプリンスがいるんでね。(ミノリータvs椎葉を)見たいなっていうのもあるんでね。いろいろ夢は膨らんでくるなって感じですね。
ーー次はいよいよ8月21日の富士通スタジアム川崎ですが。
光留 まあハードヒットは1試合だけですから(笑)。妙な才能で、JEEEPとかのほうが需要が出てくるっていう……。でもまだまだ「格闘技とプロレスって別のもんじゃん! プロレスってお客さんが楽しめばいいんでしょ? 楽しむってエンターテインメントでしょ? 俺たち笑かせて! 楽しませて!」っていう時代に、なんでこのスタイルが生き残っているかっていうのは、ちょっと意味のあるものにしていきたいなっていうのがあるので。まぁでも最後、1・2・3、ダーやるとは思わなかったから! さすが伊藤崇文って思いましたけどね。

Return Top