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ニコプロpresentsハードヒット「ALL格闘技総進撃」

ニコプロpresentsハードヒット「ALL格闘技総進撃」

日時:2017年7月16日(日)
開場:17:00
開始:18:00
会場:東京・新木場1stRING
観衆:消防法ギリギリ超満員札止め(主催者発表)

ダークマッチ第1試合 5分1本勝負(延長3分)
服部健太(花鳥風月)
延長 時間切れ引き分け
阿部史典(スポルティーバ)
ダークマッチ第2試合 5分1本勝負(延長3分)
鶴巻伸洋(フリー)
3分34秒 腕ひしぎ十字固め
安藤雅生(フリー)
ダークマッチ第3試合 5分1本勝負(延長3分)
飯塚優(HEAT-UP)
延長 時間切れ引き分け
SUSHI(フリー)
第1試合 シングルマッチ10分1本勝負
野村卓矢(大日本プロレス)
3分16秒 腕ひしぎ十字固め
唐澤志陽(M16ムエタイスタイル)
第2試合 エキシビジョンマッチ 異種格闘技戦ルール3分2ラウンド
青木篤志(全日本プロレス)
エキシビジョンのため勝敗なし
前口太尊(PHOENIX/元J-NETWORKライト級王者)
第3試合 シングルマッチ10分1本勝負
小林裕(U-FILE)
7分29秒 ヒールホールド
山本裕次郎(花鳥風月)
第4試合 シングルマッチ10分1本勝負
鈴木秀樹(フリー)
6分18秒 人間風車固め
政宗(フリー)
第5試合 グラップリングタッグマッチ15分1本勝負
藤原喜明(藤原組)
和田拓也(フリー)
14分30秒 腹固め
岩本煌史(全日本プロレス)
松本崇寿(リバーサルジム立川ALPHA)
第6試合 シングルマッチ10分1本勝負
WINDY智美(フリー)
6分29秒 TKO(レフェリーストップ)
関友紀子(花鳥風月)
第7試合 シングルマッチ10分1本勝負
佐藤光留(パンクラスMISSION)
6分16秒 アキレス腱固め
中村大介(夕月堂本舗)
第8試合 高橋“人喰い“義生「復活戦」15分1本勝負
ロッキー川村(パンクラスism)
8分21秒 TKO(レフェリーストップ)
高橋“人喰い“義生(フリー)

今大会から5分間で決着がつかなかったら3分間の延長戦を行うことになったダークマッチだが、3試合中2試合が延長戦でも決着がつかず。そのダークマッチが終わったあと、ハードヒットプロデューサーとして佐藤光留が登場し「自分がDDTの1ブランドだったハードヒットを完全に受け継いでから、何年か経ったんですけど、今回初めて増席、チケット完売でした」と、まずは挨拶。急きょ増席したこともあり、一部チケットトラブルがあったことをお詫びした。そして「前回のハードヒットをここ新木場でやったんですけど、そのときに控室で藤原喜明さんが中心になって自分や、本日も登場します和田拓也選手や(ロッキー)川村もそうなんですけど、いかにプロレスラーになるためにこういう格闘技を学んだ、こういうことをしたっていうのをみんなで話し合ったんですけど。ほかの会場でその話をしたら、いまプロレスラーになるのに、特別格闘技のキャリアを積まずにスポーツのスタートがプロレスという人も段々増えてきました。これはもう正しいか正しくないかではなくて、プロレスがそれだけ幅のある格闘技として日本で認知されたことなんだと理解しています。それでもやはり自分の生きてきた人生の中で、プロレスというのは格闘技だと。ちょうどそのときに聖飢魔IIというバンドのYouTubeを見ていたら、オール悪魔総進撃という物騒なライブをやっていて。これを自分たちに置き換えたら、ALL格闘技総進撃だということで(タイトルが)決まりました。いろんな格闘技のルーツを持った選手を、これだけ揃えた興行っていうのはないと思います。今日、週刊プロレスの取材も受けまして、そのときも言ったんですけど、このプロレスを格闘技として認識する。プロレスをするために格闘技のキャリアを踏んでリングに上がるように頑張るというのは、これいま日本でしかないものだと。いまWWEにいろんな選手が行ったり、WWEでやっているようなプロレスが日本で流行ったり、それもひとつの文化の広がりだと思いますが、せっかくこの格闘技の国・日本に生まれて、育って、格闘技としてのプロレスを見てきたんだったら、そのU系と言われる格闘技のプロレスをやり続けることも、胸を張って世界に発信出来る日本のプロレスだと思っています! 今日は非常に暑い日になりました。こんな日に男同士がハァハァ言いながら抱き合っているのを、これだけの人数で見る。これも日本のプロレスだと思います。他人の価値観になぞられて生きていくのは、もちろん必要ですけどしんどいです。せっかく生まれた自分の人生だったら、自分の価値観で生きていこうと僕は決めて、このハードヒットのリングに立っています。どこにも…もしかしたら認められないかもしれないですが、自分にはこれだけのお客さんが来てます! たくさんの選手が控室で今か今かと待って、シャドーボクシングを繰り返しています! この中で生きていくことは幸せでしかないです!」と挨拶すると、興奮するあまり自らハードヒット公式ルールをデモンストレーションを交えて解説した。

第1試合は大日本プロレスの野村卓矢vs.M16ムエタイスタイルの唐澤志陽。まずは野村が強烈なローを打っていく。すぐに唐澤もミドルを返していくが、蹴り脚をキャッチした野村はテイクダウン。アキレス腱固めを狙った野村だが、唐澤は立ち上がって脱出。野村の蹴り脚をキャッチした唐澤は、蹴手繰りで転がす。立ち上がった野村にローを打っていく唐澤だが、野村も重たいローを返す。組み付いて引き込んだ野村は足関節を狙うが、唐澤はこれも立ち上がって回避。ローの蹴り合いから野村はミドルをキャッチしてテイクダウン。マウントにパスした野村はカメになった唐澤に腕十字を仕掛けるが、唐澤はうまく脱出。蹴り脚をキャッチして蹴手繰りを仕掛ける唐澤だが、野村は倒れずにガブってテイクダウンを奪うと、アームロックから流れるように腕十字を極めてタップを奪った。

第2試合は全日本プロレスの青木篤志vs.PHOENIX所属で元J-NETWORKライト級王者・前口太尊のエキシビジョンマッチ。フリーエスケープ&フリーノックダウン、前口はボクシンググローブ着用、グラウンド状態が10秒を経過した時点でレフェリーがスタンド状態に戻すという異種格闘技戦ルールの3分2ラウンド。開始早々、前口が右のローから左のハイキックを青木の顔面にヒットさせる。やや後退した青木だが、果敢にタックルを仕掛けてテイクダウン。だが、前口も逃げて立ち上がる。青木はなおもタックルを仕掛けていくが、テイクダウンしてもニアロープ。前口はミドルの連打からボディブローを狙ったが、青木はタックルを合わせてテイクダウン。すぐにロープに逃れた前口は飛びヒザを出すが、キャッチした青木はスタンディングのアキレス腱固めへ。だが、グラウンド状態で10秒になってしまう。前口は青木の左足にローキックを3連続で叩き込んでダウンを奪う。カウント8で立ち上がった青木だが、前口は首相撲からのヒザ蹴りを入れていく。青木がタックルでテイクダウンを奪っても、やはりニアロープ。2R、ボディへの連打を狙った前口にタックルを合わせてアキレス腱固めを狙った青木。だが、前口は寝た状態かたのパンチで脱出。青木は足首への低空タックルからどうにかヒザ十字を狙うが、極められる前に10秒経ってしまう。前口はローの連打からソバットを狙うが、かわした青木はタックルからアームロックを狙う。もう少しで極まりそうだったが、残念ながら10秒経ってしまう。前口は執拗なる左足へのローの連打でダウンを奪う。カウント8で青木が立ち上がったところで残り1分。腕を取って引き込んだ青木は舌からの腕十字を狙うが、前口もマウントパンチ。スタンドになって組み付いた青木は、ロープに押し込んで背負い投げ。だが、10秒以内に関越技を極めることが出来なかった直後、試合終了のゴング。

試合後、青木と健闘を称え合った前口は「はじめまして! キックボクサー、永遠の反抗期、前口太尊と申します」と自己紹介すると、「今日はこのような場所でエキジビジョンという形ではありましたが、青木選手と試合が出来て本当に光栄に思います。ありがとうございます。また参戦したいので、次はエキジビジョンじゃなくてプロレスとして試合をしたいです!」と、“格闘技としてのプロレス”であるハードヒット本格参戦を熱望した。

第3試合はU-FILEの小林裕vs.花鳥風月の山本裕次郎。お互いに組み付いた状態からなかなか攻撃に移せず膠着状態となったが、小林のストレート掌底が山本の顔面にクリーンヒット。山本はすぐに組み付き、脇を刺しながらダメージの回復をはかる。ブレイクがかかると、小林はヒクソン・グレイシーばりに右手を伸ばす独特な構えでプレッシャーをかけていく。しかし山本は下から突き上げるようなストレート掌底を顔面に伸ばしていく。組み付いてテイクダウンした小林はアームロックを狙うが、山本はハーフガードからカメになる。ボディシザースからバックを取った小林はスリーパーをに捉えるが、山本はロープエスケープ。鼻血を出しながらも組み付いてテイクダウンを奪った小林は、山本のボディにパンチを入れながらパスを狙う。山本のガードが固く、なかなかパス出来ない小林だが、途中でいきなりアームロックを極めていく。これで山本はロープエスケープ。残り1ポイントとなった山本は、やや強引のビクトル投げから小林の足に絡みつくとクロスヒールホールドを狙ったが、逆に小林がヒールホールドを極めてみせ、小林はタップアウト。

第4試合はフリーの鈴木秀樹vs.フリーの政宗。どちらもプロレスラーだが、普段ならヘビー級とジュニアヘビー級と違う階級だ。翌日に大日本プロレス両国大会を控える鈴木はストロングヘビー級のベルトを腰に巻いて入場。すると政宗は開始直後、前転フェイントからフライング・クロスチョップを出していく。鈴木は簡単にかわしてみせると、首を傾げた政宗に組み付いていきなりダブルアームを狙う。ロープが近かったためブレイクとなったが、首相撲から引き込んでいった政宗。しかし体も大きく、体重も重い鈴木は上から覆い被さっていく。下になった政宗はネックロックを仕掛けていくが、鈴木はクロスヒールホールドで切り返す。政宗はうまく防御して立ち上がるが、ガブっていった鈴木。巻き投げでグラウンドに持ち込もうとした政宗だが、鈴木はスリーパーに捉える。これもうまく脱出した政宗は、内掛けで倒すと鈴木の足首を極めようとする。鈴木は防御しながら上になると背後からフルネルソンを狙う。政宗が防御しても強引に首を捻りあげた鈴木は素ピングチョークのような体勢へ。しかし政宗も下からの三角絞めで切り返すが、すぐに首を抜いた鈴木は立ち上がり、猪木−アリ状態に。政宗もうまく立ち上がると、タックルを仕掛けてきた鈴木をガブっていく。コーナーに押し込んだ鈴木がブレイクしようとした瞬間、何とコーナーを蹴り上げてスイングDDTを決めた政宗は、セントーンを投下。そこあらアームロックを仕掛けると、鈴木の顔が苦痛に歪んだが、前転した鈴木は政宗をガブりながら立ち上がると、見事なダブルアームスープレックスで投げてから、そのままブリッジしての羽交い締めに捉え、ギブアップを奪ってみせた。

第5試合は藤原組の藤原喜明&フリーの和田拓也vs.全日本プロレスの岩本煌史&リバーサルジム立川ALPHAの松本崇寿によるグラップリングタッグマッチ。打撃が一切禁止のルールということで、松本が柔術着、岩本が柔道着、和田はサンボ着を着用して登場。この試合は和田京平レフェリーが特別に試合を裁いた。藤原vs.岩本で試合が始まると、まずは岩本のタックルを切った藤原が上になってヘッドロックを狙うが、岩本は足を使って腕十字で切り返そうとする。スイープした藤原はレッグロックを極めていき、岩本は慌ててロープエスケープ。スタンディングでフロントネックロックに捉えた藤原は、そのままグラウンドに持ち込むが、首を抜いた岩本はアームロックの体勢に。だが、うまく防御して極めさせなかった藤原は、タッチしようとする和田の手を払って再び岩本に組み付く。飛行機投げから上になった岩本は腕十字を狙う。だが、ヒザで岩本の足を押さえ付けてうまく脱出した藤原は、岩本が松本にタッチするのを確認して和田にタッチ。寝転んで誘う松本に対し、和田は側転パスガード。和田のサンボ着の袖を掴んで引っ張った松本はオモプラッタ。和田も松本の体に密着して足関節を狙っていくが、どちらも極めさせない。すると和田は肩口に松本を抱えて立ち上がり、水車落としで叩き付けていく。だが、松本はその直後に腕十字を仕掛ける。三角絞めにスイッチした松本だが、和田はヒザ十字固めで切り返す。さらにクロスヒールホールドにスイッチした和田だが、松本は苦痛で顔を歪めながらも見事なテクニックで脱出して岩本にタッチ。得意の払い腰から肩固めをいきなり仕掛けていった岩本だが、極めさせなかった和田は電光石火のビクトル投げからヒザ十字。慌ててロープに逃れた岩本はスリーパーをし替えようとするが、和田は藤原にタッチ。岩本の左腕を取ってアームロックに捉えた藤原は、岩本が前転して逃れようとするとワキ固めへ。慌てて後転した岩本はそのままロープに足を伸ばす。タッチを受けた松本は藤原にアームロックを仕掛けるが、足首を掴んで藤原はそのまま捻り上げる。松本は回転しながら腕十字で切り返すが、藤原が慌てずにロープスケープして和田にタッチ。クロスヒールホールドを仕掛けていった和田だが、松本は回転してロープに逃れる。残り3分となり、下から絡みついた松本だが、和田はバックに回って俵返しで投げていく。松本は投げられた状態からスピニングチョークを狙ったが、和田はロープに脱出すると巴投げからの腕十字を狙う。クラッチする松本だが、クラッチが切れた瞬間に体勢を帰る。和田はオモプラッタを仕掛けるが、松本もオモプラッタで切り返す。ロープエスケープになると、松本はモンキーフリップのような形で投げ、そのまま腕十字を狙う。和田はロープに逃れると藤原にタッチ。残り時間が少なく、松本が不用意にタックルを仕掛けていくと、藤原は一発逆転の腹固めに捉えて松本からギブアップを奪ってみせた。

第6試合はフリーのWINDY智美vs.花鳥風月の関友紀子。2012年3月にパンクラスで引退したWINDYだが、序盤から鋭いローキックを飛ばしていく。関も積極的に掌底で前に出るが、WINDYも左右の掌底を返すとノーガードで近づいていってプレッシャーをかける。WINDYの右ミドルから左ローがヒット。それでも関はボディへの掌底をコツコツ当てていく。WINDYは首相撲から突き放しての右ミドル。関も掌底を下から上へと連打で叩き込むが、WINDYは憮然とした表情で強烈な右ミドルを叩き込む。ガードの上からでも明らかに効いている様子の関。それでも下からの腕への掌底を打っていくが、ガードの上からもらった右ミドルでも徐々に後退してしまう。するとWINDYは右ハイキック。頭部をかすめた関がフラつくと、WINDYは左腕に右ミドル2連発。関は苦悶の表情でダウン。どうにか立ち上がった関だが、WINDYは首相撲から突き放して右ミドル。それでも関は片足タックルから素早くバックを取るとスリーパーへ。これはWINDYもロープに脱出するしかなかった。関は上下委に打ち分けた掌底を連打sるうが、WINDYも右ミドルを力一杯連打。関の左腕が下がってきたが、関はスッとWINDYの懐に入ると電光石火の背負い投げで投げ飛ばし、一気に腕十字に捉える。慌ててロープに転がっていったWINDY。残り1ポイントとなり表情が明らかに変わったWINDYはガムシャラに右ハイキックを連打。5発目がついに関の側頭部にクリーンヒットしてダウン。ここでレフェリーが試合をストップし、WINDYが復活戦を勝利で飾った。

第7試合はパンクラスMISSIONの佐藤光留vs.夕月堂本舗の中村大介。いきなりサイドキックを出した中村だが、光留もバックステップでかわしてローキック。中村もかわしてグラウンドを仕掛けるが、どちらも譲らず一度距離を取った中村。ノーガードで挑発する中村に対し、蹴り脚をキャッチしてアキレス腱固めを仕掛けた光留だが、サイドにパスしてアームロックを狙う中村。潜って防御する光留だが、首を取ってフェイスロックに捉えた中村は、そこから一気に得意の腕十字へ。光留はすぐにロープエスケープ。ボディへのニーリフトで飛び込んでいった中村は光留のバックを取るとするが、光留は逆に上から覆い被さろうとする。しかしスルスルとかわした中村はアームロックに捉える。光留は両足で中村の足を挟むと股裂きで切り返す。慌てて脱出しようとした中村のバックを取った光留はジャーマンで投げ捨てる。世界ジュニア王者になって体も大きくなった光留と、中村のパワーの差が徐々に出始める。ダウンした中村だが、カウント8で立ち上がる。ハイキックからヒザ蹴りで反撃する中村だが、キャッチした光留は強引にバックドロップで投げると、もう一度バックを取る。中村は股下から足を取ってヒザ十字固めで切り返す。これには光留もロープエスケープ。残り1ポイントとなった光留は中村の蹴り脚をキャッチすると、空いている右手で中村の顔面にアッパー掌底を叩き込む。これで中村は2度目のダウン。どうにか立ち上がった中村は飛びヒザで飛び込んでからの飛び付き腕十字。しかし体重差もあり、光留を転がせない。逆にアキレス腱固めに光留が捉えると、中村はロープまで引っ張ることが出来ずタップアウト。

第8試合はパンクラスismのロッキー川村vs.フリーの高橋“人喰い“義生。2013年9月に引退した高橋義生が、リングネームを高橋“人喰い“義生に変え、引退試合の相手だった川村を相手に復活戦をおこなう。セコンドに頬を思いきり張らせて気合いを入れた高橋は、フェイントを入れながらジリジリと川村との距離を詰めていく。ステップを踏んだり、タックルを仕掛けたり、いろいろ探る高橋だが、川村は落ち着いた様子。川村がボディブローを打っていくと、高橋は組みついて顔面に掌底。そこからフロントネックロックに捉えた高橋はグラウンドに持ち込んで胴絞めを加えると、「落とすぞオラ!」と威嚇。しかし川村は必死に手探りでロープを探し、どうにかロープをたぐり寄せる。川村はジャブの掌底を出していくが、高橋はタックルでテイクダウンを奪うとアームロックに捉える。そこからサイドにパスした高橋は袈裟固めへ。川村はブリッジしながら何とか脱出しようとするが、高橋は肘グリから腕十字へ。クラッチする川村に対し、ボディに鉄槌を落としていく高橋。これで川村のクラッチが切れて腕が伸びてしまったが、川村は間一髪でロープエスケープ。高橋は右フック気味の掌底で川村をフラつかせると、左の掌底でダウンを奪う。カウント9で立ち上がった川村は苦し紛れに高橋に組み付くが、ブレイクした直後に放った右の掌底が高橋の顔面にヒット。フラつく高橋に右の掌底から左のボディブローを叩き込んだ川村はダウンを奪う。立ち上がった高橋だが、勝機と見た川村は左右の掌底を連打してダウンを再び奪う。後がなくなってきた高橋も左右も掌底を連打していき、真っ向からの殴り合いに。しかしロープを背負ってしまった高橋の顔面に川村の左フック気味の掌底がクリーンヒットし、高橋は前のめりにダウン。その瞬間、レフェリーが試合をストップした。

倒れた高橋にセコンドが駆け寄る横で、左目を押さえながらも勝ち名乗りを受けた川村。朦朧としながらも立ち上がった高橋に光留も心配そうに近づく。歓喜のガッツポーズをしていた川村に近づいていき、握手を求めた高橋。川村が高橋の手を握ると、高橋は川村の腕を掲げた。高橋が万雷の拍手の中、引き上げていくと、その背中に最敬礼した川村が「高橋さん、帰ってきたぞー! ここにいる誰よりも、高橋さんが帰ってきたことは俺が嬉しい! これからハードヒット、高橋さんを軸に、そしてロッキーを軸に回っていくと思います! これからもハードヒットをよろしくお願いします!」と叫ぶと、最後は「最後にひと言だけ言わせてください……エイドリアーン!」と新木場の中心で叫んだ。

【プロデューサーの大会総括】
ーー大会の総括を。
佐藤光留 良かったです。本当にたぶんこれから一生残っていくスタイルじゃないと思うんですよ。WWEとかいまのプロレスのいいところって、放っておいてみんなやりたがっているから誰もが残すと思うんですけど、ハードヒット、このUのスタイルってたぶん誰かが止めたらなくなっちゃうスタイルなんですよ。オープニングでも言ったんですけど、これ日本のプロレスなんですよ。で、それこそアメリカにいる(DDTの)入江茂弘から「ハードヒットに1回出たっていう選手が、俺を試合に出せってうるさいんですけどどうしたらいいですか?」っていう苦情の電話がLINEで来るんですよ。それぐらいグローバルで、地球上電波が通じればどこでも話が通る時代に、もう日本のプロレス、アメリカのプロレス、世界のプロレスっていうのがなくなってきてるんですよ。その中で日本で生まれて、日本の価値観で育ってきたこのスタイルを僕はやっぱり守っていきたいし、好きなんですよね。誰かから「守ってくれ」って言われたわけじゃないですよ。もちろん「応援してるよ、頑張って! このスタイル好きだから」って言われているのはありますよ。でもそうじゃなくて、僕がやっぱりやりたいんですよ! 好きなんで。アメリカのプロレスを目指していくのもいいと思う。全然それを悪いことだとは思わない。今日出ている人にも、そういう人はいるし。けど、せっかくこの国で生まれて育って、ずっと子供の頃から見てますから。それを守るために残った、アルマゲドンのメンバーみたいなのがね(苦笑)。だから僕は胸張って言えますよ。これは日本の価値観、プロレスは格闘技だ。格闘技としてのプロレスっていうのは日本の価値観だから。それは胸張って言えますね。その価値観を守っていきたいですね。
ーーメインでは高橋選手が健在ぶりを見せてくれましたが。
佐藤光留 ずいぶんと見た目は変わっていたと思うんですよ。けど、歳とったんじゃなくて、歳重ねたでしたね。高橋さんはやっぱ男じゃないですか。「辞める」って言って、そのあと戻ってくられないと思うんですよ普通に。でもそこを「復帰したい。リングに戻りたい」って、後輩に言うのってどんだけ勇気がいるんだろうなって思うんですよね。それほどまでにこのスタイル、このプロレスっていうのは、高橋義生を“人喰い“義生にする、もう一度“人喰い“にする力があったんだと思うんですよね。でも時間っていうのは、誰にも平等にかけていくものだから。やっぱり生きている人でしょ。そういう人のビジュアルでしたね。だから嬉しかったけど、泣きそうになりましたね。何かね。言葉にならないですよ、泣きそうになりました。あのリングに立っている高橋さんを見て。
ーー中村選手とはこれまで何度か対戦してますが。
佐藤光留 今回で4回目ですね。デモリッションで1回、U-FILEで1回、ハードヒットのグラップリングで1回、で今日でもう1回ですから。
ーーハードヒット公式ルールの試合で、きっちり勝利しましたが。
佐藤光留 中村さんはUスタイルのまま総合格闘技に出ていって、DEEPのチャンピオンになったんですよ。僕はパンクラスという総合格闘技を出て、プロレスで残していこうとした。それがもう1回ここで交わってても何の違和感もなかった。それは共通言語があったからですよ……と、僕は思います。ただ、単純な話ですけど、僕ちょっとデカかったですよ(笑)。70キロでずっとやってきた中村選手と、いま全日本プロレス出ててジュニアヘビーで105キロですからね。それでやってきた僕とでは、ちょっと体重差があったなと思うんですけど、それでも(試合を)受けて、「よし、やったろう!」って向かってきてくれるのは、やっぱり中村大介っていう男のUへの気持ちだと思いますよ。彼にもきっといろいろあったと思いますよ。いろいろない選手っていうか、いろいろない人っていないっすよ。忘れるためにプロレスに来るのか、同じ苦しみを短時間で味わってる人、それでも頑張っている人を見て自己を投影するのか、楽しみ方はいろいろですよ。
ーー今回、超満員で次回大会への期待も高まっていると思うのですが、何か構想や計画はありますか?
佐藤光留 あります! 今日思いつきました。グラップリングの大会をやっていないです。でもそれって毎年夏にやっているんですよ。秋口にやろうと思ったけど、もう時間もないので。冬にかけて昼夜でやってみようかなと思います。ひとつの興行をグラップリング(のみの試合)にして、もうひとつを全部ありの、今年最後のハードヒットにしてちょっとやってみようかなと。今回、準備期間もあったんで。なのに川村が間違って、チケットをダブらせるっていう……のもありましたけど。でも段々大きくなってるんだなっていうのと、もうやめたっていう気持ちが出て来るのと(苦笑)。いや、だってしんどいんすよ。あともう1個は解説に格闘技の人に来てもらおうかなと思っています。Abemaでパンクラスを見ていたら、総合格闘技の選手が解説やっていて、すごいいい仮説だったので、ちょっとハードヒットを格闘技の選手にも解説してもらいたいなって。結局それはプロレスラーのレスリングってどうなのかってこともそうだし、出ている選手も「格闘技の選手からしたら、これは舐められているな」って思われないように一生懸命頑張るし。二つの意味で、それもちょっと考えています。
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