ニコプロpresentsハードヒットチャレンジ2
日時:2021年8月8日(日)
開場:17時30分
開始:18時00分
会場:東京・王子ベースメントモンスター
観衆:上限ギリギリ(超満員札止め=主催者発表)
第1試合 タッグマッチ 5ロストポイント制 15分1本勝負 | |
拳剛(フリー) | |
○ | 橋本圭右(Physical Space柔術アカデミー/quip) |
11分33秒 腕ひしぎ十字固め | |
● | 小林裕(フリー) |
唐澤志陽(ベストボディジャパン) |
第2試合 株式会社クローバーアンドインフィニティ提供試合 65kg契約 キックボクシングルール 2分2R | |
○ | 藤元悠介(クローバーアンドインフィニティ) |
2R終了 判定 | |
● | 大野正樹(トライ/松本幼稚園) |
第3試合 株式会社クローバーアンドインフィニティ提供試合 75kg契約 ボクシングルール 2分2R | |
○ | 作山陸(クローバーアンドインフィニティ) |
1R1分59秒 KO | |
● | 三角宗(制圏会) |
第4試合 株式会社クローバーアンドインフィニティ提供試合 75kg契約 キックボクシングルール 2分2R | |
● | 深谷悠大(クローバーアンドインフィニティ) |
1R28秒 KO | |
○ | 市川エビゾウ(湘南魂スポーツジム) |
セミファイナル 3ロストポイント制 10分1本勝負 | |
△ | 佐藤光留(パンクラスMISSION) |
10分00秒 時間切れ引き分け(残りポイント2-2) | |
△ | 小岩健一(トライフォース柔術アカデミー) |
メインイベント 3ロストポイント制 10分1本勝負 | |
○ | 川村亮(パンクラスイズム横浜) |
10分00秒 残りポイント2-1 | |
● | 井土徹也(HEAT-UP) |
2019年3月以来の開催となったハードヒットの実験的大会『ハードヒットチャレンジ』だが、まずは大会プロデューサーの佐藤光留が「前回のハードヒットCHALLENGEがもういつだったか忘れるくらい前になりまして、そこからまさかのWWEに行く選手、武藤敬司のシャイニング・ウィザードを食らう選手、いろんな選手を輩出してきました。もうプロレスと格闘技はまったく別物だと2021年のいま、思われているのですが、まったくの別物だったら自分たちで共通点を見付けてリングに上げてしまえばという思いで、今日もやっています。ただしかし、コロナのお陰で興行数も減り、試合の場がなくなったのは、これはもうプロレスも格闘技も同じです。格闘技選手のリングに上がれる時間というものは、やはり限りがありますので、ぜひぜひ沢山出てくれということで、本日選手を沢山招聘しました。もしかしたら普段見ている選手よりはキャリアの浅い選手、粗が目立つ選手がいるかもしれませんが、すべての成功はチャレンジの上になりたっていると信じております。その打率が10回チャレンジして1回なのか、9回なのか、10回なのか、そういう人の差はあると思うのですが、チャレンジやめたらそこで成功というものも同じく絶たれると思っております。選手にはとにかく自分の格闘技技術、あと人間としての気持ち、お客さんに向けてのパフォーマンス、すべてここで出し尽くして帰ってくれと言いました。今日は王子ですが、次見るときは後楽園ホールとか大きいところに出るかもしれません! ぜひ皆さん、声は出せないですが、拍手とか思わず出る声とかで声援していただければと思います。あまり堅いことは言いたくないんですけど、もし何かあったらいろいろ大変なので、観戦ルールを守っていただけたらと思います。最後まで選手頑張ります。よろしくお願いします! ありがとうございました!」と挨拶。
第1試合はハードヒットルールのタッグマッチ。格闘技経験はないが、路上400戦無敗だというプロレスラーの拳剛が、ブラジリアン柔術歴10年で紫帯の橋本圭右と組んで、唐澤志陽&小林裕と対戦。素足の拳剛だが、開始早々唐澤に対して思わずローキックを出してしまい、注意を受ける。鋭いタックルからバックを取った拳剛だが、振り解いた唐澤はローからミドルキック。しかし怯むことなく掌底で前に出る拳剛。フェイントを入れながら胴タックルにいった拳剛だが、唐澤が小林にタッチすると拳剛も橋本にタッチ。しゃがんでグラウンドに引き込もうとした橋本だが、ローキックを出そうとした小林のヒザが、ちょうどカウンターのように顔面に入ってしまう。鼻血を出した橋本だが、足に絡みつくとガブっていく。立ち上がった小林だが、飛び付いて胴絞めの状態で引き込んだ橋本。どうにかパスしようとする小林だが、橋本も密着して許さない。バックから腕十字を狙った橋本だが、小林は足を伸ばして唐澤にタッチ。またも拳剛が掌底を打ちながら果敢にタックルを仕掛けるが、唐澤もうまく切っていく。またも拳剛がタックルで押し込んだところで唐澤はタッチ。小林は拳剛のタックルを潰して腹固めを狙うが、拳剛が防御するとバックに回る。ここで拳剛の足に橋本がタッチ。ローキックをもらいながらも密着した橋本が引き込む。小林も足関節を狙っていくが、橋本は体を密着させて防御。橋本がタッチすると、拳剛は小林に胴タックルからグラウンドに引き込むが、小林はガードポジションから掌底。サイドにパスして腕十字を狙うが、拳剛は声をあげながらも必死に防御。しかしロープ際だったこともありエスケープ。ここで橋本vs唐澤に。ローを出していく唐澤だが、残り5分になったところで橋本がグラウンドに持ち込む。しかし唐澤は小林にタッチ。小林の足に絡みついた橋本に対し、小林も足関節を狙うが、ここで橋本は腕十字にスイッチ。クラッチする小林だが、クラッチが切れたところでタップ。橋本がハードヒットデビュー戦で勝利した。
第2試合は藤元悠介(クローバーアンドインフィニティ)vs大野正樹(トライ/松本幼稚園)のキックボクシングルール。序盤から大野は積極的に前に出ていくが、冷静に応戦していく藤元。苦しくなってきても後退はせず、前に出ていく大野だが、徐々に苦しくて組みついてしまう場面が増える。組みつくのを何度もレフェリーに注意されながらも、必死に前に出ていく大野は、残り1分でバックブローをヒットさせる。しかし藤元も退くことなく、パンチを出し続けていき、2Rが終了したところで小池レフェリーの判定により藤元が勝利。
第3試合は作山陸(クローバーアンドインフィニティ)vs三角宗(制圏会)のボクシングルール。身長で勝る作山は、前に出て来る三角に対し、序盤こそ打ち合ったが、パンチをもらうとガードを固め、前傾姿勢の三角にフックを合わせる。作山の右ストレートをもらってしまい、三角が後退したところに一気にラッシュをかけ、またも右ストレートを叩き込んでダウンを奪う。ダメージが残る三角はクリンチで凌ごうとするが、打ち合いになると三角が後退。作山が左右のフックを乱打すると、ガードを固めていた三角が両ヒザからマットにつく。ここでレフェリーがKOで試合をストップ。1R終了1秒前での決着となった。
第4試合は深谷悠大(クローバーアンドインフィニティ)vs市川エビゾウ(湘南魂スポーツジム)によるキックボクシングルール。深谷が大振りのパンチを振り回していくが、市川は強引に前に出ていってストレートを伸ばしていく。やや勢いに押されて深谷が後退したところにストレートをもらってしまいダウン。後がない深谷は前に出ていくが、顔面がガラ空きだったため市川の右ストレートがカウンターでクリーンヒット。深谷は前のめりにダウンしたため、市川がKO勝ちを収めた。
セミファイナルはハードヒットルールによる佐藤光留(パンクラスMISSION)vs小岩健一(トライフォース柔術アカデミー)。ブラジリアン柔術黒帯の小岩だが、道着の下にレガースをつけ、蹴りのフェイントで威嚇するため光留もなかなか攻撃が出来ない。そこから足に絡みついていった小岩だが、光留も足関節を狙っていく。一旦自ら離れた小岩は低空タックルでテークダウンを奪うと、サイドからマウントにパス。だが、下になって仕掛けようとした小岩に対し、光留はもう一度足関節を狙う。小岩もアキレス腱固めを仕掛けていくが、そのまま立ち上がった光留は上になる。ならばと背後に回った小岩だが、光留はレッグロックを狙う。小岩が下から足を使って光留の体勢を崩していき、背後に回って腕十字。これは光留もすぐにエスケープ。光留はボディへのパンチかからミドルキック。効いている様子の小岩の体勢をミドルとローで崩したところに、右のローキックでダウンを奪う。残り3分となり蹴りでラッシュをかける光留だが、小岩はローに苦しめられながらも低空タックルでテークダウン。ガードポジションから掌底やボディへのパンチを打っていく光留だが、足に絡みついた小岩。光留はヒールホールドを狙うが、逆にアンクルホールドを仕掛けていった小岩。光留は「全然痛くありません!」と強がるが、その直後に小岩のアキレス腱固めで悲鳴をあげる。残り10分で離れた両者。小岩の蹴り脚をキャッチして洗濯バサミを狙った光留だが、ここで時間切れのゴング。残りポイントが両者とも2-2で引き分け。両者笑顔で健闘を称え合った。
メインイベントはハードヒットルールによる川村亮(パンクラスイズム横浜)vs井土徹也(HEAT-UP)。リングアナのエイドリアンから「愛してるよーう、川村亮〜!」とコールされて思わず気まずい表情になる川村。積極的に蹴っていく井土に対し、川村は両手の掌を見せるような構えでプレッシャーをかけていく。片足タックルを仕掛けていった井土だが、バックを取った川村。脇を差した井土は、川村をコーナーに押し込む。どうにかテークダウンさせようとした井土だが、川村はガードポジションに。下から掌底を叩き込んだ井土に対し、川村は肩固めを仕掛けていく。極まったところでどうにかロープに足を伸ばした井土がエスケープ。ローと掌底を叩き込んでからタックルを仕掛けた井土だが、うまく切りながらバックを取った川村。ガブっていった川村だが、逆にサイドヘッドロックで切り返した井土。川村もサイドにパスするが、井土はそのまま立ち上がって川村をコーナーに押し込んでから一旦離れる。川村が掌底からタックルで井土をコーナーに押し込むが、井土は前からフロントネックロックで組みついていく。ぶら下がった状態で絞めていく井土だが、川村は脱出が難しいと判断してエスケープ。これで残りポイント2-2で並ぶ。掌底の打ち合いになると、コーナーを背負った井土が劣勢に。川村の打ち降ろすような掌底を食らってしまい井土はダウン。朦朧としながらも何とか立ち上がった井土だが、川村はハイキックからスーパーマン掌底でラッシュをかける。苦しい井土はどうにかタックルを仕掛けて凌ぐと、スイープして上になった井土は腕十字を仕掛ける。だが、10秒で川村のクラッチを切ることが出来ず時間切れのゴング。残りポイント2-1で川村が勝利。
握手をしながら井土に何やら耳打ちをした川村。そして井土がリングを下りていくと、マイクを持った川村は「皆さん、本日はご来場ありがとうございました! ハードヒットチャレンジ2ということで、今回いろんなチャレンジをしました! 皆さんも見てくれたと思いますけど、通常のハードヒットルールだけではなくアマチュアのキックボクシングルールだったり、ボクシングルールだったりを入れさせてもらいました。ハードヒットをやる上で格闘技、つまり強さというものは必ず必要なものとなります! そういう選手を今後輩出するためにもアマチュアの選手に試合をさせて、強くさせて、そしてハードヒットを下の方からぶ厚くしていこうかなと思い、今回ハードヒットチャレンジ2ということでやらせていただきました! 佐藤さんからマイクで締めろということを言われまして。そう言われると失笑が漏れるんですけど、ハードヒットはただUWFだけじゃなくて、ひとつの格闘技のイベントとして沢山かなりの可能性を秘めています! 今日のアマチュアの試合はもちろんのこと、今日のハードヒットの試合ももちろん、様々な可能性を秘めています! これからも皆さん、いろんな声があると思いますので、ぜひそれをTwitterでも何でも案を出していただけると我々もそれを考えて、よりぶ厚い、層の厚いハードヒットをつくっていきたいと思いますので、皆さんご協力よろしくお願いします! 最後になりましたが、ひとことだけ言わせてください。ハードヒットはこれも出来る!」と締めた。
ーーまずは総評を。
光留 えー、面白かったっすね。自分で言うのも何ですけど。もっと不安があったんですけど、面白かったっすね。あとやっぱ心の中にLIDETとの対抗戦で、今後ハードヒットが何をどうすればっていうのを考えたんですよ。ただ続けているだけじゃないけど、でも続くにも理由があって。これからどうしなきゃいけないかって考えたんですよ。自分たちは名前よりも実なんだなって。やっぱ思うんですよ! 僕の大事なお友達がいっぱい書いている2ちゃんねる(現5ちゃんねる)のGLEATスレを見ても思うんですけど、続いているってことに対して「だからどうした」とかやっぱ来るんですよね。沢山。SNSとかでもよく言われるし、実際1通だけメールが来ましたからね。「GLEATのこと悪く言わないでください」って。結構本気の長文の苦情が来て。「あなた方ずっと新木場じゃないですか。GLEATは東京ドームシティホールでやっているんですよ。規模が違います!」って(苦笑)。「同じ舞台だと思わないでください」って。言ってることは分かるけど、だからと言って……何て言うんだろう……ビッグネームを招聘するけど……例えば鈴木(みのる)さんが僕との(デビュー)20周年(記念試合)に出てくれたり。それこそ藤原喜明さんも出てもらいましたけど、根本にあるのは格闘技としてのプロレスなんですよ。だから中井祐樹先生も出てもらったし、近藤有己選手もエキシビジョンだけど、ハードヒットだから、格闘技としてのプロレスだからっていうのを理解してくれたから出てくれたと思っています。もしかしたら今日出た選手っていうのは、すごく名前のある選手じゃないかもしれない。もしかしたら街中ですれ違っても、この人はプロかどうか分からない選手たちかもしれない。でもやっぱりね、強さを追い求めているものって面白いんですよね! それを思いましたね。バカみたいに柔術のジム行っただけで、柔術の技術を手に入れたみたいな奴よくいるじゃないですか。とくにウエイトしかしてねえのに、強くなりたいとかバカ言ってる奴いるじゃないですか! アイツらに向けての…何かこう……憤りが僕の代わりにみんながやってくれたっていう(笑)。でも自分もやっぱ思いましたし。プロレスが格闘技だっていう以上、格闘技者としての強さを求めないといけないし、それの最先端のスタイルがハードヒットだっていう自信がありますから。その可能性がまた新しく見えたチャレンジだったと思います。
ーー川村選手も最後に「いろいろチャレンジして層を厚くしたい」と……。
光留 アイツは佐藤光留が言ったことをそのまま言っているだけで! 佐藤光留は鈴木みのるがパンクラス時代の練習で言ったことを、そのまま言ってるだけなんですよ。本当に(笑)。パクリのパクリですよ、アレは。ただ川村の中にもひとつ責任ってものが見えてきたし。川村亮としてリングに上がっているわけだし。ただアイツの今日の功績はやっぱりあのクローバーアンドインフィニティ軍団ですね。面白かった! プロレスやらねえかな、アイツら(苦笑)。王子の控え室、自分ん家みたいになってましたからね(笑)! いまのプロレス界にはないです。面白かったです! 格闘技のアマチュアの試合を組みたいって言ってるのに、揃いも揃って格闘技歴が「なし」って書いてるんです! 相手も「(格闘技歴が)ない」っていうのが面白いんですけど(苦笑)。でも面白いってそういうことなんですよね。
ーーリアルな意味で地下でしたね。
光留 そうですね!
ーー小岩選手は対戦してみてどうでしたか。
光留 面白かったっす! あと第1試合の橋本選手と天龍プロジェクトでスカウトしてきた拳剛! いやぁ面白かったっすね。もう1回試合を見たいっす!
ーー拳剛選手はレスリング?
光留 いや、やっていないって言ってました。
ーー路上400戦無敗だけ?
光留 はい。
ーーで、あのタックル?
光留 見よう見真似って言って。オマエ、目指す方向間違えてるぞって。でも面白かったです! 面白かったです。ただただ面白かったですね。ちょっとまた見たいですね。拳剛選手は継ぎに誰とやらせるか。久々に見た(小林)裕も面白かったし。裕の場合、これの前の試合が近藤有己ですからね(笑)。面白かったです!
ーーまたすぐ大一番が……TDCホールより大きな会場での大会が控えてますが。
光留 はい! 段々ハードヒットじゃなくてプロレスが……だって今度ハードヒットルール1試合だけですからね。あとは何かYMZみたいなことを沢山やってますよ(苦笑)。でもちょっと9月ぐらいにやりたいな。スケジュールがいろいろ変わったので。ちょっとガッチガチのハードヒットをやりたい!
ーー今日チャレンジの大会をやったことで、またその気持ちがまた出て来たのはありますか?
光留 ありますね! やっぱ普通のハードヒットの試合もチャレンジですから。そりゃあチャレンジですよ! 誰かがお金出してくれてやる試合じゃないですから、ウチは。チクショーめ! それに関しては絶対譲らねぇぞ!(隣にいた井土に向かって)井土、出る? 次のハードヒット。
井土 出たいです!
光留 よし! じゃあ出します。厳しめの奴を当てます。
井土 あ、お願いします!