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ニコプロpresentsハードヒット「JUST DO IT」

ニコプロpresentsハードヒット「JUST DO IT」

ニコプロpresentsハードヒット「JUST DO IT」
日時:2019年6月8日(土)
開場:17時30分
本戦開始:18時30分
会場:東京・新木場1stRING
観衆:黙って超満員(主催者発表)

ダークマッチ① シングルマッチ5分1本勝負
大村友也(闘真)
2分19秒 ヒールホールド
ユーマ24(フリー)
第1試合 シングルマッチ10分1本勝負
鈴木秀樹(フリー)
0分20秒 キーロック
井土徹也(HEAT-UP)
第2試合 タッグマッチ15分1本勝負
唐澤志陽(M16 TOKYO)
前口太尊(TEAMタイソン)
8分05秒 TKO(レフェリーストップ)
服部健太(花鳥風月)
鶴巻伸洋(フリー)
第3試合 シングルマッチ10分1本勝負
松本崇寿(リバーサルジム立川ALPHA)
10分00秒 時間切れ引き分け(残りポイント5-5)
岡田剛史(T.K.ESPERANZA)
第4試合 シングルマッチ10分1本勝負
阿部諦道(浄土宗西山深草派)
4分48秒 ヒザ十字固め
中台戦(TEAM OVER KILL)
第5試合 グラップリングタッグマッチ15分1本勝負
田村男児(全日本プロレス)
TAJIRI(フリー)
7分38秒 腕ひしぎ十字固め
KEI山宮(GRABAKA)
ロッキー川村(パンクラスイズム横浜)
ポージングエキシビジョン(5分)
ブラックコンバ(パラエストラ八王子)
どちらもムキムキ(エキシビジョンのため勝敗なし)
スーパーマッチョモンキー(フリー)
ダークマッチ② シングルマッチ5分1本勝負
クイック・チョップ・リー(クイック・チョッパーズ)
5分00秒 時間切れ引き分け
安藤雅生(フリー)
ダークマッチ③ シングルマッチ5分1本勝負
渡邊龍太朗(DDT松山)
5分00秒 時間切れ引き分け
依光健太郎(マイティーロッキーズジム)
第6試合 空手エキシビジョンマッチ10分
SUSHI(フリー)
4分20秒 エキシビジョンのため勝敗なし
菊野克紀(沖縄拳法空手沖拳会)
セミファイナル シングルマッチ10分1本勝負
和田拓也(フリー)
2分37秒 裸絞め
飯塚優(HEAT-UP)
メインイベント シングルマッチ15分1本勝負
佐藤光留(パンクラスMISSION)
15分00秒 時間切れ引き分け(残りポイント2-2)
関根シュレック秀樹(ボンサイ柔術)

ダークマッチが1試合終わったあと、プロデューサーの佐藤光留が登場。超満員の観客に向かって「本日はたくさんのご来場、誠にありがとうございます。いきなり全日本プロレスと同じ音楽が流れ、何を話すか全部忘れてしまいましたが、今大会のスタートを考えたときに、大会名だろと。とにかくボクの周りでこうやりたいけど何がダメで出来ないとか、体を作りたいけどしんどいのがイヤだとか、仕事がしんどくて会社に行きたくないとか、そういう話があふれてて。そのときにHIPHOPでボクの好きなアーティストが『黙ってやれ』という歌を歌っていて。いいなと思ったけど、ハードヒットに『黙ってやれ』という名前はちょっと違う。そんなときに名前は出せないですけど、ヨシタツというヤツが横を通りがかって(場内笑)、『それって“JAST DO IT”って言うんですよ』って得意顔。それで今一番待ち望まれてるカードをやってしまおうと思って、自分と関根選手のカードを決めたのが、この大会の趣旨でした。そして大会いよいよ直前というときに、ボクのタッグパートナーだった、全日本プロレスの青木篤志選手が事故で突然いなくなってしまいました。我々はプライベートで会わないのがカッコいいと思ってた関係だったんですが、会いに行ったらまさに『いいからやれ』って顔をしてて。その言葉を思い浮かべるたびにヨシタツがチラつくのがいつもの風景だと思ったけど、世の中にはタイミングというものがあると思います。この大会名をつけたときに一番近くにいた人から『光留さん、いいからやってください』って言われたのも縁で、生まれるのも自然なら死ぬのも自然なことなんだなって。我々は毎回死ぬことも覚悟してリングに立っている。永遠に出来ないからこそ、価値があるものもある。選手全員にハッパをかけて、1分1秒でも早い勝利に向かって全力疾走する、そんな試合をしてくれと焚き付けております。これがプロレスのすべてではないですが、大事な大事なボクたちが信じたプロレスの根幹の一部だと思います。こうして話が長いのも青木さんのオマージュなんですよ。ブログで告知した変態自衛隊のグッズも思ったより数が多くて、残ってるのがXLサイズばかりというのも我々らしいでしょ?(笑)。たとえ負けても、足が折れたって、売店に立ちますし、その売上は隊長がずっと熱心に支援していたTAKAYAMANIAに全額募金します。今日も一生懸命頑張ります。よろしくお願いします」と挨拶した。

第1試合は鈴木秀樹vs井土徹也。井土が果敢にキックを打ち込んで攻め立てる中、鈴木が腕を固めながらのテイクダウンから、首に足をかける変型キーロックを決めて井土がギブアップ。20秒という秒殺で鮮やかな勝利を決めた。

第2試合は唐澤志陽&前口太尊vs服部健太&鶴巻伸洋。2017年12月のハードヒットでプロレスデビューした前口太尊が、デビュー戦の相手である唐澤志陽とタッグ。まずは服部と唐澤から立ち上がり。服部がタックルも、たちが上がってスタンディングへ。唐澤はローキックを4発打ち込んでいくが、服部は低空タックルでテイクダウン。そのまま回転しながらトップを奪い合うグラウンドレスリングが続く。服部はサイドポジションを奪うが、再び唐澤が立ち上がり、前口と鶴巻へ。アップライトの構えからローキックの打ち合いに。前口はミドルキックを3連発も、鶴巻はその足をキャッチしてテイクダウンするとアキレス腱固めへ。さらに片逆エビ固めへと移行するが、前口はコーナーに手を伸ばして唐澤と交代しながら脱出。唐澤がローキックをテンポよく打ち込んでいく。5分経過。15発近くローキックを受け続ける展開となった鶴巻だが、胴タックルでテイクダウンするとアキレス腱固めへ。さらに交代した服部も低空タックルからヒールホークルドへ。エスケープ。これで残りポイントは4-5。唐澤は鶴巻にローキック連発から顔面への張り手、ハイキックを決めてダウンを奪う。これで残りポイントは4-4。前口は服部をコーナーに追い込むと、一気にヒザを叩き込んでダウンさせ、レフェリーストップに。唐澤&前口組の勝利となった。

第3試合は松本崇寿vs岡田剛史。道着着用の両者は、開始直後につかみ合う形でともにグラウンドへ。松本は背中を付けながら回転する独特なスタイルで下からスキを伺う。静かな攻防の中、松本はスルスルと腕を取りながら三角絞めの体制へ。逃れた岡田は首をつかみながらオモプラッタ。しかし松本も足をつかむ変則的な動きで返させない。岡田が腕ひしぎ十字固めの体勢に入るも、松本は足で足をはさみながら回転する形で脱出し、首と腕を固めていく。岡田も回転しながら脱出し、アキレス腱固めへ。松本は変則的なレッグスプレッドから背後を奪うと、裸絞めへ。岡田は再びレッグスプレッドから足を首の裏にかけていく。そのまま腕ひしぎ十字固めを決めるが、脱出した松本はヒザ十字固めから三角絞めへ、再びアキレス腱固めへ。5分経過。岡田はヒザを折りたたんで固める動きも、松本は腕ひしぎ十字固めの体勢へ。指を折り曲げてクラッチを切り、さらに指まで固めてから変型キーロックへ。そのままフットチョークの形で締め上げると、腕ひしぎ十字固めへ。岡田は後転して逃れるが、松本は裸締めへ。しかし、岡田は一気に腕をつかみながら前転して、裏十字固め。松本は脱出するとパスガードから腕ひしぎ十字固め。松本はさらに足をつかんでのローリングから攻め込んでいく。残り時間1分。松本は腕ひしぎ十字固めから足まで固めていくが、岡田も足をつかんでヒールホールドの形で脱出。残り30秒となる中、松本が裸締めへ。最後は岡田が腕ひしぎ十字固めのの体勢に入る中で10分時間切れに。静かながらも固唾を飲む超高度なグラウンドテクニックの応酬の連続となり、両者には大きな拍手が送られた。

第4試合は阿部諦道vs中台戦。3・3「ハードヒットCHALLENGE」で時間切れ引き分けとなったため再戦。スタンディングでの掌底の打ち合いの中、お互いにローキックを放っていく。中台がコーナーに追い込むが、阿部も体を入れ替える。中台のストレート掌底に、阿部は組み付いてコーナーへ。中台が覆いかぶさる形でテイクダウン。中台は体重をかけながら掌底を打っていくが、阿部は上を取り返してヒールホールドの形へ。エスケープ。これで残りポイントは3-2。阿部はローキックからグラウンドに持ち込むと、サイドポジションへ。さらにマウント掌底を打ち込んでいくが、自ら立ち上がって間を取る。中台はボディーへの掌底を打ち込むが、阿部は2回転しての燕返し。しかし、それをガードした中台がキックからの掌底を打ち込んで阿部がダウン。カウント9で立ち上がる。これで残りポイントは2-2。阿部が低空タックルでダウンを奪うも、上を取り返した中台はヒザ十字固めへ。これが見事に決まり、中台のギブアップ勝利となった。試合後に中台が握手を求めるも、阿部は顔面を張り飛ばして退場。スリリングな好勝負となった。

第5試合はKEI山宮&ロッキー川村vsTAJIRI&田村男児のグラップリングルールによるタッグマッチ。この試合に出場予定だった青木篤志さんの急逝により、全日本所属の若手・田村男児が代打出場。なお、田村は全日本1・2後楽園で青木&光留を相手にデビューをおこなっている。グラップリングルールにつき、川村も試合前にボクシンググローブを外す。TAJIRIそっくりなパンタロン姿で登場した山宮は、TAJIRIを挑発し、山宮とTAJIRIの対戦からスタート。しかし、TAJIRIはスカして田村に交代。すると山宮がパンタロンを脱ぎ、何とロッキー川村とお揃いの星条旗柄のスパッツに。しかし、川村が背後からタッチして制止し、結局はTAJIRIと川村からの立ち上がりに。静かな間合いの取り合いから、TAJIRIがフェイントでけん制。TAJIRIはなぜか試合中に帯を外すと、レフェリーが帯に気を取られた隙にスライディングして下から毒霧を噴射。川村が抗議するも、レフェリーは見ておらず認められず。田村と川村に。田村は片足タックルからグラウンドに持ち込むとケサ固めへ。さらにスタンディングとなり、田村はバックを奪うとスープレックス。TAJIRIは山宮にレッグスプレッドを仕掛けるが、脱出した山宮はバックを伺う。しかし、TAJIRIは腕をロープに巻き付けながら反撃。反則攻撃も、川村の介入により気が付かれず。再び山宮がスパッツ姿になろうとするも、そこへ田村が突進。グラウンドへ持ち込むが、山宮は腕を固めながらローリングクレイドルの要領で回転させ、腕ひしぎ十字固めへ。そのまま絞り上げてギブアップ勝利。クセ者・TAJIRIの立ち回りにより見所十分の一戦となり、山宮はTAJIRIに1対1を求める握手。これにTAJIRIも握手で応えた。

ここでマイクを持った山宮が「TAJIRI選手、田村選手ありがとうございました。2人闘えて光栄でした。また機会があればよろしくお願いします。ロッキーも今日はありがとう。今回の試合までにいろいろあって、それについては自分が言う資格もないけど、明日なにがあるかわからないから後悔だけはしたくないんだよ。だからもう1回、川村と闘いたい。3年前のあのときと同じルールで、もう1回川村と闘いたい。いまさらもう川村をキライじゃないし、憎んでもいないから。後悔したくないからもう1回オレと、“真剣勝負”して下さい」とUファンには馴染みのあるフレーズで川村に対戦要求。川村は「エイドリアーン!」と叫んで引き上げようとしたが、山宮から「わかんないよ!」と言われると、観客からパスされたリンゴを山宮にパス。どうやらこれが対戦承諾のサインらしい。

休憩時間のあいだにポージングエキシビジョン、ダークマッチ2試合がおこなわれたあと、第6試合、SUSHIvs菊野克紀の空手エキシビジョンマッチ。まずは菊野が空手の型を披露する中、空手着+青木さんが愛用していたメーカーのTシャツで現れたSUSHIは型ではなくSUSHIダンスを披露。試合時間は10分、勝敗はなし。顔面への拳の攻撃、寝技の攻防は禁止。両者オープンフィンガーグローブとレッグガードを着用。SUSHIは空手の構えを取るが、菊野は微動だにせず強烈な中段回し蹴りを打ち込んで場内どよめき。SUSHIも左右のキックを返していくが、聞くのは強烈な下段回し蹴り。さらに腹への正拳突きから下段回し蹴りのコンビネーション。SUSHIも蹴りを返していくが、菊野の打撃は明らかに重さが違う。しかし、SUSHIも声を上げて自分を鼓舞しながら前身。しかし、菊野の中段回し蹴りでSUSHIがダウン。カウント8で立ち上がる。菊野は胸と腹への正拳突きから、中断回し蹴りを2発。SUSHIも声を上げながら間合いを詰めていくが、蹴りを受けてダウン。カウント9でなんとか立ち上がり場内歓声。SUSHIは中段回し蹴りを打ち込むことに成功するが、最後は菊野が強烈な中段回し蹴りを決めてSUSHIは3度目のダウン。レフェリーストップとなったが、エキシビションマッチにつき勝敗はなし。

菊野が空手の打撃の鋭さを見事に見せつけるエキシビションマッチとなったが、果敢にも空手で闘ったSUSHIにも大きな拍手が送られた。試合後に菊野はマイクを持つと「こんばんわ。今日はこの場をいただきありがとうございます。ハードヒットファンの皆さんは本当に温かいなと感じています。僕は地元鹿児島で自主興行を開催させていただいていて、ロッキー選手に出場していただいたご縁で、今日ここに出させていただきました。人生1度なので、いろんな経験ができてありがたく思います。6・15に敬天愛人アマチュア大会を中央区総合スポーツセンター(浜町駅近く)で開催します。世界中で生まれたいろんな武術とプロレスも含めたいろんな格闘家が集まって、いろんなルールで闘います。武術のバトルロイヤルとして3〜5人で一気に闘うとか、3vs3の集団戦とかいろいろあって楽しめると思いますので、よろしければみなさん見に来て下さい。よろしくお願いします」と挨拶した。

セミファイナルは和田拓也vs飯塚優。和田は青木篤志さんの中学の同級生であり、親友でもあった。飯塚がローキックを打ち込んでいくが、和田もローキックを返す。飯塚は低空タックルも、タックルを切った和田はバックを取る動き。しかし、飯塚も足を絡めながらテイクダウンを狙う。スタンディングへ。飯塚のローキックをキャッチした和田が足をつかんで倒しにかかるも、飯塚はどのまま低空タックルへ。和田は上を取りながら打撃を落としていく。飯塚もミドルキックをキャッチしてのタックルを狙うが、和田は後転式ネックロックへ。再びスタンドへ。打撃でよろめかせた和田は、青木の得意技であるアサルトポイントを投げっぱなしで見事に決める。さらにそのままグラウンドでスリーパーホールドに持ち込み、鮮やかな1本勝ちを奪った。

勝利した和田はマイクを手にすると、涙を堪えながら「今日はちょっと僕に時間をいただきたいと思います。月曜の夜に僕の親友でもある青木篤志がああなってしまって、今日はなんで自分がここにいるのかって意味がわかってなくて。ちょうど4年前の大会で青木とシングルをやったんですけど、青木が呼んでくれたおかげでいまこうしてここに立っている。青木は子供の頃からカッコよくて、強くて、男前で、運動神経もスゴくて、女の子にはモテて。自分はジェラシーばっかりですよ。結局レスリングでも1回も勝てずに行っちゃいましたから。今年3月に篤志と札幌にジンギスカンを食べるというだけの目的で札幌に行って、近くの動物園にいったんですよ。オラウータンとか大きいなーとか言いながら見てたけど、『今度は富士サファリパークに連れて行こう』っていう計画があったって後から聞いて、やっぱり面白いやつだなと。まだまだもっと話したかったし、もっと遊びたかった。今日はこれが終わったら銭湯に行こうって思ってたし。最後に篤志にメッセージを送りたいと思います。篤志、いつかまた銭湯に行こう。オレは誰よりも青木篤志を最高に愛してるから。またいつか遊んでくれ。明日からまた生きるぞ!」と叫んだ。

メインイベントは昨年7月のハードヒット初参戦以降快進撃を続け、全日本プロレスにも参戦した関根“シュレック”秀樹が、いよいよ佐藤光留と対決! スタンディングの静かな間合いの取り合いから試合開始。緊張感漂う中、光留がローキックを打ち込むも、関根もローキックを返す。スピードで勝る光留がローキックを的確に打ち込み続けていく。約10発程度光留が打ち込んでいった中、シュレックは突じょ自ら背中をつける形で足を取り、見事なテイクダウンに成功。そのまま裸締めへと持ち込むと、腕ひしぎ十字固めの体勢へ。光留はクラッチしてディフェンスを固める。5分経過。再びスタンディングとなり、光留がローキック、ボディーへの掌底、ミドルキックを2発。さらにローキックを打ち込んで関根が体勢を崩す。ダウンカウントはなし。そのまま光留はリズムよく的確なキックを散らしながら打ち込んでいく。しかし、関根もローキックでバランスを崩させると、そのまま足をとってヒザ十字固めの体勢へ。なんとかロープに手を伸ばしてエスケープ。これで残りポイントは4-5。光留はミドルキック2発からローキック、さらにカウンターのミドルキックから攻勢に。左右のキックから首を取って固めていくが、関根は力で持ち上げようとする。さらに裸締めの体勢に入るが、関根は足を固めて逆に反撃。光留がたまらずエスケープ。これで残りポイントは3-5。光留はミドルキックから、ボディーをフェイントにした顔面への掌底。これが決まってダウンを奪うが、関根はカウント9で立ち上がる。これで残りポイントは3-4。光留はミドルキックから組み付いて投げを狙うが、関根は鮮やかなカニバサミからヒザ十字固めへ。さらに回転しながらバックを取り、裸締めの体勢に入るが、両者の足がもつれる形に。さらに関根は腕を狙い、腕ひしぎ十字固めの体勢に。10分経過。脱出した光留はアキレス腱固めを決めることに成功するが、関根がエスケープ。これで残りポイントは3-3。スタンディングとなり関根が気迫の声を上げる中、光留は掌底。しかし、関根は低空タックルから持ち上げて、そのまま力任せに後方へと投げ飛ばす。さらに足を固めてアンクルホールドを狙っていくが、光留も回転しながら立ち上がって脱出。残り時間3分。コーナーに追い詰めた光留はミドルキックを連発し、さらに左ハイキックを打ち込んでダウンを奪う。関根はカウント8でなんとか立ち上がる。これで残りポイントは3-2。関根は組み付くと、後転式ネックロックからフロントネックロックへ。光留は首を抜いて辛くも脱出するが、関根はヒールホールドへ。光留も足を取り返す。ならばと、関根は四つん這いになった光留を背後からぶっこ抜いてのリフトを狙うが、光留は足を取って阻止に成功。光留がエスケープ。これで残りポイントが2-2で並ぶ。残り時間1分。光留のミドルキックに、関根は顔面への掌底を打ち込んでいく。光留は「来いオラ!」と左右の掌底を気力で打ち込んでいくが、関根も右のフック掌底。最後は光留が左右の掌底を打ち込み続ける中、関根が仁王立ちに。15分時間切れ引き分けとなったが、両名の熱闘に場内からは大きな拍手が送られた。

試合後の両者は抱き合って、両手をつき、お互いの健闘を称え合った。そして光留が引き上げようとする関根に「関根さん! 疲れてるとこゴメンナサイね。チケット全然残ってないこの会場のみんなの気持ちを代弁したいから、もうちょっと近くに来てくれないかな。関根さん、オレさ、ただ格闘技の選手、ただ呼んできて、ただ興行してるわけじゃないんだ。これがオレたちの一番カッコよくて、面白くて、強くてスゴい人間のプロレスだと思ってやってて、関根さんもその中のひとりだから。ずっと聞きたかったんだけど、プロレスって関根さんにとってどんなものなのか、聞かせてくれよ」と言ってマイクを渡すと、関根はリングに戻ってきて号泣。場内からは「アンタ最高だよ!」と声が飛ぶ中、関根は「前も言った通り、ずっとプロレスラーになりたかった。でも、諦めて警察官になって、格闘技やって、またプロレスラーの夢を追いかけてることに…。オレなんかが言っていいものかわからないけど、控室で優しく声をかけてくれた青木さん、高山さんも…。彼らの分までとか僕は光留さんたちほど濃い付き合いじゃないから言えないけど、こんな45歳のジジイでも、プロレスはいまだ僕の夢です。ありがとう」と振り絞りように語った。場内から大きな拍手が起こる中、最後は光留が「夢を諦めなかった45歳、ちょっとゴツイし、蹴っても蹴っても倒れないオッサン。オレのプロレスの半分だった青木篤志は、本当に死ぬまでプロレスラーだった。オレたちは死ぬまでプロレスをやればいいんじゃないかと思うから。途中で引退したりする人もいるけど、関係ねえよ。自分たちの好きなことだったら、夢だったら、叶える人生でいこう。JUST DO ITって、黙ってやればいいんだよ。夢のような世界がこれから待ってるから、生きて、生きて、生き続ける。立てなくなるその日まで、一緒にプロレスラーでいましょう。ありがとうございました。こんな清々しいハードヒット久々だよ! みんな売店やるから遊びに来てね!」と言って四方に一礼した。

【プロデューサーの大会総括】
光留 内柴正人の参戦以来だな、(メディアが)こんだけ集まってる。もっと普段来て。何もなければ終わります。
――大会の総括は?
光留 疲れました。でも疲れないプロレスなんてクソ喰らえですよ。第1試合の秀樹さんは疲れなかったかもしれないけど、あれは勝負だから。長い時間やればいいってもんじゃないし、短けりゃ疲れないってわけじゃない。人の心、体、いろんなモノを切り売りして我々プロレスラーはできてますから。プロレスは短かろうと、長かろうと、引き分けだろうと勝ち負けがつくんですよ。
――関根と闘った感想は?
光留 デカイ! 何蹴ってるかわかんなかった。独特の間合いでずっと要素を伺ってるからこっちも引いたら押し込まれると思って、常に(打撃が)当たる距離にお互いいたから。僕のも当たりましたけど、何を蹴ってるかわからなかった。
――再戦はありますか?
光留 あると思います。もう約束したんで。みんな死ぬまでプロレスラー。
――青木さんの事故もあったが、このタイミングで開催したハードヒットはどうだったか?
光留 最後こんなハッピーエンド感満載で終わるのはハードヒットらしくねえなって、プロデューサーが言ってるのがよくわかんないですよ。フフフ。ハッピーエンドだったら現実じゃねえみたいにひねくれてるから。でも、それも青木さんと常々全日本の控室の横っちょで、みんなが良かった良かったって言ってるところで、誰も喜んでない変態自衛隊終わってるなって言われてる中で、ずっと言ってたことだから。その価値観にブレはないです。むしろ導いてもらったんだなって思ってますけど。
――次回大会は?
光留 全日本のない日の秋にやります。カード案はもうなんとなく決まってるんで。青木さんが急に遠くに行っちゃったんでズレ込んだりしましたけど。年に4〜5回新木場をいっぱいいっぱいにしながらやってたんですけど、正直もっとやりたいし、大きくしていきたいといところもある。その思いにも何度も挫折してきて、横をDDTのいろんなブランドが通り過ぎて、後楽園でやってる。ちょっと本腰を入れて、今しかないって思って頑張りたいと思います。まあ、でも次も新木場だと思います。好きなんですよ、新木場。
――闘いながら青木さんの存在を感じたりはしたか?
光留 青木さんはそういうのキライだから。でも、終わったときにチラッと頭の中に見えましたね。不思議だなって。もう息も絶え絶え、腕も痛い、足も痛い、ゴング鳴った。どうなってるんだろうと思ったときに、目の前にフワっと青木さんがいて。今日も控室に写真を置いてるんですよ。いろんな思いはありますけど、今日みんながリングで出した思いがすべてだと思うし、「クソ、出たかった! オレももっと青木篤志に思いを届けたかった!」という人は死ぬまでやればいいと思うし。全部自然なこと、そう思うようにしてるんですよ。生まれることも自然なら、死んじゃうことも自然で、雨が降ったり風が吹いたりするのと同じことだと思ってるから。ただ、悲しいのも自然だし、悔いが残るのも自然だし。すべてを乗り越えるという言い方は強いヤツが言うことだけど、黙ってやればいいんですよ。JUST DO IT。まあ、いちいちヨシタツがチラつくからもう表題にはならないけど、これからもJUST DO IT、黙ってやる、いいからやりますよ。あと、今日こんだけ(グッズ売上による募金が)集まったから、高山さんにも元気になって待ってるって。関根さんが名前を出したから、名前を出したら実現させなきゃダメだよ。みんなが待ってるから、焦らずに来てください。

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